老朽化に伴って現病院の敷地内で改築された新潟県立加茂病院(秋山修宏院長・新潟県加茂市青海町1)が9月20日に開院するのを前に2日、新病院で竣工式が行われた。
竣工式は多目的ホールで行われ、花角英世知事をはじめ70人余りが出席。テープカットなどを行って竣工を祝った。その後、一般向けの内覧会も開かれた。
1970年に竣工した現病院の老朽化に伴う改築で、現病院の北東側に隣接して建設された。地上6階鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造で建築目席4,765平方メートル、延べ床面積は現病院の1.4倍、13,960平方メートルになる。総事業費は約100億円。
病床は現在の180床より少ない168床。加茂市が強く要望していた産科の再開は、医師が確保できず見送った。県央地域では初めて緩和ケア病棟を整備した。新病院の基本的な考え方として、地域密着型病院のモデル、平成35年度早期の開院が目標の県央基幹病院との連携と役割分担を目指す。
秋山院長は報道関係者の質問に答えた。産科の再開については「医師の派遣があればいつでも開けるようなハードな面はつくってある」が、ほかの病院でも産科の医師が退職しても補充がなく、県央基幹病院への新たな医師の派遣の必要もあり、「産科がなかったのに、そこに新規にお願いしても派遣する方としては難しいのは同じ医師として理解できる」と述べた。
厳しい病院経営については「域外から患者を呼び集めなければ患者数を確保できない。そのなかで同じ急性期医療をやっていてもかなうわけがない」。緩和ケアをひとつの柱にしたのは、新潟市、長岡市でも手薄な分野で「病床稼働を上げて経営改善につなげる」とし、「県央基幹病院で急性期治療後に加茂病院に来てもらい、リハビリをやってもらって在宅にもっていくとか、一種の後方支援を担えば患者確保につながるのでは」と期待した。
県の財政は厳しく、「県央地域の救急医療は崩壊に近い。夜中に患者がきてもどこの病院もみれない。みないんじゃなくてみれない。責任もって診察できない」、さらに医師不足には「若い先生をつれてこれるようなマグネットホスピタルがないと厳しいのでは」とし、「どっちの気持ちもわかるので複雑」だが、「やはり県央基幹病院はちゃんとつくった方がいい」との考えを示した。
一方で「県央基幹病院の足らないところをやっていく気持ちはあるが、県央基幹病院があれもこれもという感じで頑張ってしまうと今度、わたしどもが経営が悪化する。そこは県央基幹病院をつくる方としても考えて周りの病院を生かしてほしい」と求めた。