結婚式の引き出物にかかるまとまった費用で地域を盛り上げたいと真宗大谷派三条別院(森田成美輪番・新潟県三条市本町2)の僧りょが三条別院とその参道から続く本寺小路(ほんじこうじ)、さらにその先の中央商店街を象徴する非公式オリジナルキャラクターを制作。名前を募集している。
9月9日行われた「三条あかり物語」の記者会見で名前募集を呼びかけた。かつてまぎれもなく三条の中心として栄えてきた三条別院かいわい。朝の別院、昼の商店街、そして夜の繁華街の本寺小路と一日中、楽しめる魅力が詰まっている。この3カ所を歩いてめぐってほしいという思いをキャラクターに込めた。手におでんを持っているのは、本寺小路におでん屋がほしいという個人的な希望だ。
三条市のデザイナー、関川一郎さん(42)がデザインを引き受けた。頭は三条別院の本堂、体は本寺小路、足は商店街を表す歩くキャラクター。今は非公式なので頭に「非」マークがある。いつかマークがはずれて公式になることを願う意味もある。
キャラクターの生みの親は、2009年に三条別院に就職した早大卒で主任の斎木浩一郎さん(37)。三条市下保内の浄福寺が実家だ。昨年9月20日に妻の友絵さん(39)と婚姻届けを出し、ことしの「七夕」7月7日に三条別院で仏前結婚式を行った。
結婚式の引き出物に多額の予算をつぎ込めると発見した斎木さんは、何を思ったかオリジナルキャラクターをつくることにした。関川さんにデザインを依頼し、完成したキャラクターと天の川をテーマにした2種類の文庫本サイズのブックカバーを製作。それを納める化粧箱は地元の相場紙器製作所に特注するという凝りようだ。
さらに文庫本サイズで16ページのフリーペーパー「アイアムアブディスト」の「七夕婚特別号」を発刊。「文字が小さすぎて不評」(斎木さん)と言うが、年1回のペースで発行を続けようと目論む。ブックカバーと化粧箱の製作のいきさつは、フリーペーパーの最後にある「こうして私たちは振り回された 関川一郎(デザイナー)×相場浩(相場紙器製作所)」に詳しい。
名前はメールなどでことしの宗祖親鸞聖人の命日の11月28日まで募集し、関川さんや中央商店、本寺小路の人たちと一緒に時間をかけて審査。釈迦(しゃか)が悟ったとされる成道会(じょうどうえ)の12月8日に斎木さんのFacebookページで採用作品を発表する。採用された人には中央商店街が扱う商品の詰め合わせをプレゼントする。
三条別院は近年、「開かれた寺院」を目指して、本堂や境内を会場にした「御坊市」の開催、三条マルシェなど行政もかかわる事業に会場提供するなど積極的に地域とかかわっている。そうした取り組みを主導しているひとりが斎木さんだ。
本人はいたって真剣だが、はた目には人を食ったように見えるアイデアで、どこまで本気か冗談か判然としないのが斎木流。このキャラクターをどう活用していくのかもはっきりとしない。
「昔、三条別院へのお参りは必ず泊まり、夜は飲み、昼は買い物をして帰った。これがつながっていけば、再びまちのにぎわいを取り戻せるのでは」と斎木さんの思いは熱い。
名前の応募は名前、住所、電話番号、キャラクターの名前をメール「tanabata20190707@gmail.com」に送信するか、ケンオー・ドットコムのFacebookページへのメッセージでも受け付ける。