越後の禅僧、良寛のゆかりの地の新潟県燕市国上、国上寺で9月29日、秋恒例の国上良寛茶会が開かれ、雨の降るなか123人が参加した。
燕市教育委員会と燕市内の茶道の先生8人が会員の燕茶道会(佐藤宗悦会長)が主催。席主は会員の回り持ちで、ことしは表千家同門会新潟県支部の坂井宗美さんが務めた。
昨年は茶席券155枚を販売しており、今回は雨降りの割には参加が多かった。茶席からは庭園を眺めることができ、雨にぬれてつやと深みを増した緑や池の水面に広がる雨滴の波紋も一興だ。
秋は名月の季節。掛け物は田山方南筆の良寛の歌を書いた「月よみの光を待ちて帰りませ 君が家路は遠からなくに」。ういろうの菓子の名は「銘月よみ」で、席主の坂井さんは点前(てまえ)のしまいに「今夜はすずり箱のふたでお月見を」と勧めた。
国上寺はことし4月、本堂にゆかりのある上杉謙信、源義経、弁慶、良寛、酒呑童子が全裸に近い姿で露天風呂につかったり、竜に乗ったりする姿を描いた絵画「イケメン官能絵巻」を本堂の四方の壁の外側に設置した。
その性的な描写の賛否をめぐって大きなニュースになってから今回が初めての良寛茶会だったが、参加人数に影響はなかった。この日も雨のなかでもイケメン官能絵巻の鑑賞目的の人が切れ目なく訪れ、例年よりにぎやかな雰囲気の茶会だった。