大型で非常に強い台風19号の接近に伴う風水害に備えて10月12日、県内30市町村のうち25市町村が合わせて約200カ所に避難所を開設した。県央地域では5市町村すべてが20カ所に避難所を設置し、合わせて約320人が避難した。
最も避難者が多かったのは、燕市。午後9時現在の避難者は、燕庁舎70人、吉田産業会館81人、分水公民館32人、土砂災害警戒区域を対象に追加開設した国上勤労者体育センター4人の計187人にものぼった。
多くの市町村が12日になってから避難所を開設したのに対し、燕市は前日11日の午後3時という早いタイミングで3カ所に避難所を設置したのが、市民の避難の意識を高めたようだ。
さらに大雨による土砂災害の危険性が高まったことから、12日午後3時から国上地区の土砂災害警戒区域に住む住民を対象に新たに国上勤労者体育センターに避難所を追加開設した。
一方、土砂災害警戒区域を含む真木山(まきやま)の自治会は、12日午後0時半に自主的に地元の真木山ふれあいセンターに避難所を開設した。真木山ふれあいセンターは土砂災害警戒区域からはずれており、土砂災害の危険性が高まると燕市などにうながされるまでもなく、自ら避難所を開設している。
真木山の住民は約60人。今回も自治会長の矢川武一さん(74)が真木山ふれあいセンターのかぎを開けて避難所の張り紙をした。「現況を見て必要だったら言われなくても事前に避難所として開けている」と話していた。
弥彦村は、農村環境改善センターと燕・弥彦総合事務組合消防本部の2カ所に村が始まって以来、初めての避難所を開設。それぞれ午後5時現在で1人、8人が避難した。
初めての避難所開設のきっかけになったのは、9月1日に弥彦村総務課の防災管理官に着任した東京出身の元自衛官、増田規さん(55)。防衛大准教授で防衛学の統率を教えていて、若年定年制で退職し、定年後も防災の仕事を続けたいと弥彦村に奉職した。
小林豊彦村長からも、どんどんやってほしいと言われていたこともあり、今回は弥彦村で初めての避難所を農村環境改善センターに開設することを提案した。開設の準備を進めていると燕・弥彦総合事務組合消防本部からも避難所に使ってほしいと申し出があり、2カ所になった。
今まで弥彦村が避難所を開設しなかったことについて「多分、言い出しっぺがいなかったらやらなかった。意識が低いのではなく、音頭取りがいなかっただけ」と増田さん。「避難所を開設しようと言ったら、土、日曜なのに、やろう、やろう、何かあったら言ってと言われ、すごくありがたかった」と言う。
ただ、避難者が少なく、「避難所の開設が浸透していない。今後は避難所の数も増やしていきたい」と話した。避難所のようすを見に訪れた小林村長は「増田防災管理官に来てもらって良かった」とさっそく村の防災への貢献を喜んでいた。
三条市が市内4カ所に開設している避難所には、12日午後6時現在で、ものづくり学校15人、中央公民館42人、農村環境改善センター10人、下田公民館8人の計75人が避難した。
加茂市では午後6時現在で避難所9カ所に、下条コミュニティセンター7人、上条コミュニティセンター6人、中央コミュニティセンターと北コミュニティセンターが5人ずつ、上町コミュニティセンター2人、ゆきつばき荘1人、ほか七谷コミュニティセンター、須田コミュニティセンター、七谷小学校がゼロの計26人が避難。
田上町は田上町総合保健福祉センター1カ所に開設した避難所に午後6時半現在で14人が避難した。