全国各地に大雨をもたらした台風19号の影響で、信濃川の下流域に流れる水を燕市分水地区で分流して日本海へ流す大河津分水路は、水位が17.06mまで上がり、1982年の16.23mを上回る観測史上最高を記録した。
長野県を流れる千曲川が新潟県に入ると信濃川という名称に変わる。千曲川は13日の明け方に堤防が決壊するほどの記録的な大雨が降った。その水が時間差で大河津分水路に流れ込んだ。
加えて信濃川に注ぐ南魚沼市と魚沼市を流れる魚野川が、氾濫危険水位を超えた。この水も千曲川から流れてきた水と合わさって信濃川を流れ、長岡市で信濃川があふれるほど水位が上がったように、大河津分水路も水位が上昇した。
大河津観測所の水位は、午前6時に15.61mで避難判断水位15.60mを超え、10時の16.18mで氾濫危険水位16.10mを超えた。なおも水位は上がって続く11時には16.39mとなり、堤防の設計の基本となる計画高水位16.28mも超え、堤防は極めて危険な切迫した状態になった。
ただ、堤防の高さは計画高水位よりさらに2m以上高い18.6mあるが、なおも水位は上がり続け、午後3時10分の17.06mでようやくピークを迎えた。9時には16.15mまで下がり、まもなく氾濫危険水位の16.10mを下回る。
大河津分水路の水面は堤防まで2mほどまで迫り、上流から木々などともに茶色の水が流れた。河口に近い野積橋の上流側に設けられた第二床固めは川底に大きな段差があり、そこを通過すると恐怖を感じるほどの濁流に変わった。
河口から7kmほど上流には、JR東日本の越後線の鉄橋が架かっている。この部分は堤防を2m近く低く切り下げてある。放っておけば水位が上がればここから水があふれるのは確実。この近くに資材庫があり、13日は朝からその資材を使って重機で石や砂を詰めたパックを切り下げられた部分に重ねて越水を防ぐ対策が両岸で講じられた。現地を確認に訪れた細田健一衆院議員は「早く手を打たないと」と険しい表情で作業を見詰めていた。
一方で、いつ越水や破堤が起こってもおかしくない状況だったが、堤防へようすを見に来たり、スマートホンで撮影したりする人が次ぐ次と訪れ、ちょっとした渋滞が発生することも。燕市では防災行政無線で堤防へ行かずに避難し、身を守るよう呼びかける放送を行った。