金属加工産業を中心に地場産業の集積として知られる新潟県の燕三条地域で、ことしで6年目となった日本海側最大のものづくり系見本市「燕三条ものづくりメッセ」が10月17、18日の2日間、燕三条地場産業振興センター(三条市須頃1)を会場に開かれ、過去最多だった昨年と同数の262社・団体が328小間に出展して製品をアピールしている。
初日17日は午前9時半から開会式、テープカットを行った。開会式で主催の公益財団法人燕三条地場産業振興センターの理事長、鈴木力燕市長は、10月11日に出版されたばかりの一橋大学・関満博名誉教授が『メイド・イン・ツバメ: 金属製品の中小企業集積で世界に羽ばたく新潟県燕市』(新評論)を紹介した。
関教授は日本の中小企業論の第一人者で、これまでも燕市の産業をテーマにした本を何冊か出版している。『メイド・イン・ツバメ…』は、燕市内の114社に取材し、歴史、変遷、これから進むべき方向を書いた。このなかで燕市の企業は複合金属製品産地となり、地域全体が多様化し、地域の問屋は地域外の製品も扱う一大集散地問屋化。関連の加工技術の集積が多様化していることを書いている。
これからの課題を解決するには、地域外との交流で新たな技術を習得したり教え合ったりすることが必要で、半数が地域外から参加している燕三条ものづくりメッセで「新たな取り引きや交流が生まれることによって新しい加工技術の展開が出てくるという期待感をもっている」。
「燕三条ものづくりメッセ」は、10月2、3日と開かれた商社をアピールする「燕三条トレードショウ」、10月3日から6日まで開かれたオープンファクトリーイベント「燕三条 工場の祭典」と並ぶ燕三条の秋の三大産業イベントは、「この地域の新たなこの地域の方向性を象徴しつつ、新たな方向性を探りつつの三大イベント」と成果に期待した。
来賓の経産省関東経済産業局地域経済部地域振興課地域企業室の西山正室長は、時代の変化を地域の中小企業が乗り越えるキーワードは「自己変革力」とし、ものづくりメッセが「交流の場となり、企業の自己変革力を高めるチャンスとして機能することに期待している」。新潟県産業労働部の近田孝之副部長は「世界に誇る新たな技術や製品を精一杯アピールし、数多くのビジネスマッチングにつなげていただきたい」と願った。
ことしは燕三条地域以外からの参加が増え、半数以上が地域外からの出展となったのが特徴。台湾からも12社・団体が出展し、地域外からの関心や期待感が高まっている。地域外からの出展はデモンストレーションを行ったり、コンパニオンを使ったりする企業が目立ち、来場者を引きつける工夫をしている。
ビジネスマンはもちろん、朝から新潟県央工業高校の1年生も団体で来場していた。誰でも入場でき、18日は午前10時から午後4時まで。