10月29日早朝、新潟県三条市下田地区で軽自動車とクマがぶつかった。この秋は県内各地で人がクマに襲われる事故が多発しており、28日も糸魚川市で県内で今年度15人目のけが人が出たばかり。三条市内でクマ出没情報は29日までに68件にのぼり、被害者が出ることが心配される。
軽自動車を運転中にクマとぶつかったのは、三条市地域おこし協力隊の渡辺俊樹さん(46)。三条市三柳出身で20数年間、首都圏でイタリア料理のシェフとして働き、ことし4月から帰省して地域おこし協力隊に就き、下田地区の奥、大谷ダム手前の塩野渕に住み、旧荒沢小学校を拠点にNPOソーシャルファームさんじょうで活動している。
旧荒沢小へ出勤のため、軽自動車を運転して家を出て、左手に五十嵐川を見ながら国道289号を三条地区方向へ走行していた午前6時半ごろ、「そば処 山河」を過ぎて500mほどの南五百川地内で、左から飛び出してきたクマにぶつかった。
左手はすぐ横を五十嵐川が流れる。「あっと思ったときにはぶつかっていた」と渡辺さん。ブレーキを踏んだが、速度が落ちる前にぶつかって先で止まった。右に大きくハンドルをとられるほどの衝撃だった。ドアミラーで確認すると、クマを車の後ろを通って右手の山の方へ走り去った。ここから500mほど先には住宅がある。
「やべ。やっちゃったと思ったらふつうに走っていった」。体長は60cmくらいで真っ黒な見るからに子グマ。110番通報すると近くに親グマがいる可能性があるため、車から出ないようように言われ、そのまま日帰り温泉「いい湯らてい」へ向かった。車と外へ出て確認すると、フロントバンパーの左前の角はスイカでもぶつかったように大きくへこみ、クマの体毛も付着していた。
渡辺さんは興味本位で「一度はクマを見てみたいと思っていたが、まさか車でぶつかるとは思わなかった」と驚く。ランニングが好きで朝、旧荒沢小周辺を走ることがあったが、クマの出没でパトカーに制止されたことがあり、それからは夕方に走っている。
ほかの協力隊は、旧荒沢小前の池で水を飲んでいるクマの親子を目撃している。ここよりもずっと里の下田庁舎付近で国道289号を横断しているクマを目撃したという情報もある。
いつクマに襲われてる人が出てもおかしくないほど三条市でも頻繁にクマが里に下りて来ているようすが目撃されており、十分な注意が必要だ。