11月5日から8日までの4日間、真宗大谷派三条別院(森田成美輪番・新潟県三条市本町2)で行われた宗祖親鸞(しんらん)の祥月命日に向けた法要「お取り越し報恩講(ほうおんこう)」にあわせて6日夜、本堂で演劇「シアターサンジョーゴボー」の第4回特別公演が行われた。
「開かれた別院」をテーマに毎年11月6日の夜限定で三条別院本堂を劇場として開放し、演劇公演を行っている。これまでは長岡市が拠点の劇団の公演を行ったが、ことしは東京出身で劇団で主役も務める女優だった三条市の岡田美香さん(38)が演出を担当した。
主役は東京の役者に依頼し、岡田さんが主宰する「65歳以上の劇団」の団員5人と岡田さんが外部講師に就く新潟市のサンミュージック・アカデミー新潟校の生徒7人、演劇の講師を務める三条市の事業「わくわく文化未来塾」に通う中学1年生1人、それに僧りょ12人が出演した。
脚本は三条市で映画『ライブハウス レクイエム』を撮影したこともある映画監督で脚本家の松本卓也さん。タイトルは『いきものきもち』。生き物の考えていることがわかる機械「フィーリングー」を発明しようと研究するミト博士と助手のベジ子を中心に展開。ストーリー自体は難しくないが、殺生、人間とほかの動物との境界、人間のエゴやおごりなどを考えさせられる。
150人を超える来場者があった。本堂だけに僧りょが読経する場面は雰囲気があり、本格的な演出の生の舞台を味わえた。地元のアマチュア劇団団員の42歳の男性は「照明も音響も、すごくクリアで見やすかった。わかりやすくてみんな突き刺さったんじゃないかと思う」。かつて三条市に存在した三条演劇研究会のメンバーだった62歳の男性は「生の舞台は25年ぶりくらい。やっぱり芝居はいいですね。楽しかった」と役者だった時代を思い出して胸を躍らせていた。