新潟県警加茂署(皆川正美署長)は11月12日、管内の田上町で用水路に転落した女性を助け出し、人命救助に貢献した3人に署長感謝状を贈呈した。
3人は、いずれも田上町吉田新田に住む野瀬和子さん(65)と福井三男二さん(69)、朋子さん(68)夫婦。10月25日午前7時半過ぎ、雨の降るなか車を運転していた野瀬さんは、吉田新田地内の用水路に80歳代の女性が落ちているのを見つけた。女性は頭から血を流し、靴を片方しかはいてなかった。
野瀬さんも少々、気が動転していたのか「おばあちゃん、川から上がるんだろ?」と声をかけると女性は「上がりたい」と答えた。野瀬さんは車を安全な場所に駐車してから女性の元へ戻ると、近くの家に住む福井さん夫婦が野瀬さんらの声に気づいて女性のそばに来ていた。
野瀬さんと福井さんは顔を見知り。すぐに福井三男二さんが用水路に入り、3人で女性をすくい上げて110番通報した。女性を福井さんの家に入れ、ぬれた服を着替えさせるなどした。女性は救急車で病院に運ばれ、頭の切り傷や打撲だけの軽いけがですみ、入院も必要なかった。
用水路の水深は10センチと水は少なかったが、幅150センチ、深さは135センチもあった。野瀬さんは「最初、このおばあちゃん、ひとりじゃとっても上げられないと思ったんですよ。どうしようかと思ったんだけど、戻って来たらちょうど福井さんが出て来てくれて、すぐちゅうちょもなく飛び込んでくれて良かった」。
女性は現場から直線で150メートルの家に住んでいる。認知症があり、ふだんは家にかぎをかけているが、家族がトイレに入っている間に外へ出たらしく、いなくなったことに気づいた家族が女性を探そうとしているところだった。用水路に落ちて救助されなければこれ以上に命の危険にさらされた可能性もある。
「わたしは本当に何もしてなくて、みんな福井さんがやってくれて感謝状をいただくのは恥ずかしいくらいですが、ありがたい」と野瀬さん。福井三男二さんは「高齢化社会はこうした事故もあるかと思う。自分もそういう危険があるので気をつけたい」、朋子さんは「感謝状をもらって申し訳ないくらい」と話した。
皆川署長は「雨が降っていたことを考えると生命もあぶなかったと思う。救助後の体を暖めるとか洋服の措置はわたしたちが見習いたいくらい。実際に用水路に入るのは勇気がいる」と3人の手柄に感謝した。