新潟県三条市内でスーパー3店舗を展開する食品小売業の株式会社あいでん(野水慎二社長・三条市西四日町4)が11月26日、倒産した。3店舗のうち中央商店街の「あいでん本町店」(本町3)は中心市街地にあり、「あいでん本成寺店」(西四日町4)は住宅密集地にある。いずれも徒歩で来店する高齢者が多く、買い物に困難を感じる“買い物難民”が増えるのは確実だ。
三条市内で最も高齢化率が高い中心市街地は、またしても買い物難民の問題に直面する。中央商店街の「あいでん本町店」が建つ土地には、かつて三条市を代表する商業施設として「まるよし本店」が存在したが、2002年9月に閉店し、創業から125年の歴史の幕を閉じた。
それから1年7カ月後の04年4月、「まるよし本店」の主に1階部分を使ってスーパー「良食生活館三条店」が開店したが、4年半後の08年9月に閉店し、買い物難民が問題視された。
買い物難民救済をと、三条市の提案もあって中央商店街が別の場所で2年後の10年6月に独自にコンパクトストア「まごころ」を開店。経営は順調だったが決して楽ではなかった。12年7月に「良食生活館三条店」跡地に建設された「あいでん本町店」が開店。それに伴って役目を終えた「まごころ」が閉店した。
「あいでん本町店」は買い物難民対策の切り札、これで中心市街地の買い物環境は盤石になったと思われたが、それから7年半での倒産、閉店で再び振り出しに戻った。ことし7月に加茂市の株式会社サンゴマートの倒産で閉店した三条市・サンゴマート下田店では、12月にリオンドールが開店することが決まっているが、「あいでん本町店」への出店は簡単ではない。
この7年半の間にも中央商店街は早通屋、小松酒店、東映ムービルなど古くからある商店街を代表する店舗などが営業をやめ、銀行も支店の統廃合で減った。商店街は大きく体力を落とし、集客力が低下した。
「あいでん本町店」の建物は新しく、ほかのスーパーが居抜きのような形で再利用できるだろうが、出店は困難な環境と言わざるを得ない。仮に出店を計画したところで債権者の問題もあり不動産を利用できるのは当分、先になる。
三条中央商店街振興組合理事長の鈴木直さん(72)は、「商店街の痛手は大きい。生鮮食品3品のうち八百屋と生鮮食品がなくなる。唯一のスーパーがなくなって商店街に来る用事がなくなる」と突然の倒産に驚き、影響の大きさに不安を感じている。
早くも商店街の常連客から何とかしてほしいという声も聞いた。「また疲弊が進む」、「商店街を歩く人がいなくなる」とため息をつく。買い物難民対策を含め、商店街を存続させていく道は険しい。