12月1日、待ちに待った三条市体育文化会館が開館し、それを祝うイベント「開館祭」が行われた。その企画、運営側にかかわったため、きっちり取材ができていない。なので時系列で撮影した写真を眺めながら、ざっくりと日記のように自分目線で振り返ってみる。
12月の始まりなのに朝から抜けるような青空。放射冷却現象で三条は明け方の最低気温が−0.2度の今季初めての氷点下を記録した。身の引き締まるような朝。新しい三条市体育文化会館のスタッフは午前8時に集合。簡単なミーティング後、「とにかく楽しんでやりましょう」で、それぞれの持ち場などへ散り、インカムを着けて1日が始まった。
出演者や裏方のスタッフが集まり始め、各会場の設営が同時並行で進む。正面の広場にはテント2店とキッチンカー3台が集まり、それぞれを配置を出店者にお願いした。気がつけばあっという間に1時間がたっていて、時計がやたら早く進む。
10時にマルチホールで竣工式が始まる。司会の立ち位置は客席から向かって左の下手が一般的だが、なぜか逆の上手にしてほしいとの指示。とくに問題はないので、指示通りの配置で国定勇人市長の式辞、事業報告、来賓祝辞と続いた。
竣工式には関係者以外に一般の来場者も入れるとのこと。500席のマルチホールには入りきらないと予想したが案の定、収まりきらずにマルチホールの外にも人があふれた。粛々と竣工式が行われたあとはアリーナ前の通路でテープカット。
テープカットをする人数からして、ここしか紅白テープを張れる場所がなかったが、通路は幅が狭く、テープカットを見守る市民は、通路の外から見学してもらうしかない。相当な数の市民が集まって雨が降ったらどうなるのかと心配されたが、好天に救われた。すでにざっと1500人の市民が来館していたが、無事にテープカットも完了。同時に三条市吹奏楽団の2人のトランペットによるファンファーレが響き、裏館小学校郷土クラブの児童2人が太鼓をたたくなかでオープンすると、来館者がどっと館内に流れ込んだ。
アリーナで2階から福まきを行ってから、マルチホールで裏館小郷土クラブの児童が「凧あげ太鼓」と「金物太鼓」を演奏してにぎやかに幕を開けた。続いては開館記念のガラコンサート。3部構成で第1部は、この日のために編成された140人の大合唱団によるサプライズの「ハッピー・バースデー・マルチホール♪」で始まり、「大地讃頌」などを演奏。第2部はソプラノとフルートの演奏、そして目玉のヤマハのフルコンサートピアノ「CFX」を使ったピアノ演奏。第3部は三條太鼓三小相承会が和太鼓演奏を繰り広げた。
アリーナでは三条市の3人制バスケットボール「3X3」のプロチーム「三条ビーターズ」がエキシビションマッチを行った。ハーフタイムでは県内中学校で唯一のカラーガード部、燕市立吉田中学校カラーガード部が華やかなパフォーマンスを披露。チアガールの女の子も会場をわかせた。
それだけにとどまらず、キャプテン南条一輝さんの人前結婚式も。国定市長が牧師のような衣装で立会人を務め、南条さん夫婦が生のゴスペルが響くなか、レッドカーペットを歩いて結婚を誓い、署名した。お決まりでキスもあり、南条夫婦はおそらく三条市体育文化会館で初めてキスをしたカップルとなった。さらにサプライズで、バスケットボールをかたどったウェディングケーキもお目見えした。
それが終わると今度はマルチホールで長岡市が拠点の東京テジナーランドが和風イリュージョンやバルーンパフォーマンスを披露した。最初の出し物では何もないはずの箱の中から国定市長が登場するイリュージョンでスタート。燕三条地域ではほぼ初お目見えだ。市民にとっては物珍しく、スタートでは席が3分の1ほどしか埋まらず、心配したが、会場に入った人がそのまま席にとどまり、後半は満席になり大好評だった。
このあとはアリーナでスラックラインのパフォーマンスや体験、小学生の新体操の演技、ラグビーやキックボクシング、ボクシングの体験。マルチホールではキッズダンス、居合道、けん玉パフォーマンス、そして全日本少年少女空手道選手権大会の形で6連覇した高野万優さんの演武などを次々と繰り広げた。
並行してほかの部屋でもイベントが行われた。2020年東京五輪の柔道で三条市をホストタウンとする東欧のコソボ共和国のレオン・マラゾーグ駐日大使夫妻が来条。マラゾーグ大使によるトークイベントやコソボ料理のふるまい、大使夫人とのデザート作りやティータイムを行った。
ふるまいのコソボ料理は、白インゲンのシチュー。事前に地元スタッフがレシピを聞いて入手しにくい白インゲンと値の張る牛テールを使って調理しておいた。大使夫人はいろんな場所でシチューを調理してもらうが、今までいちばんコソボの味に近いと感激。マラゾーグ大使も「コソボの味」と太鼓判を押していた。
新潟刀剣女子会(藤田茉祐代表)は、三条市にちなんだ平安時代の刀工・三条近村(さんじょうちかむら)の太刀、鎌倉時代の刀工・来国光(らいくにみつ)の伝とされる太刀、加州清光のやりをはじめ、打刀、脇差し、短刀などを展示すなど刀剣十数振りに加え、会員が各地へ刀剣展示の見学に出かけたときに入手したグッズなども展示した。
刀剣目当てで来場した刀剣女子もいて、三条市でこれほどの貴重な刀剣を見ることができると思わなかったと涙を流す人や、何時間も会場で刀剣を鑑賞して過ごす人もいた。
通路では自転車に紙芝居を載せて披露する人や東京ディズニーランドでもおなじみのサウンドパフォーマンスやバルーンアート、ポップコーンマシンを使ったポップコーンの販売。トレーニングルームのレクチャーには毎回、利用を検討している大勢の人が訪れて真剣に説明を聞いていた。
マルチルームでは空手、剣道、柔道、銃剣道、合気道の体験教室。ベーゴマやけん玉の体験もあり、施設のネット遊具やボルダリング施設も子どもたちに大人気だった。
といったところ。ちなみに歩数計は前日10月30日が1万2000歩、本番1日が1万5000歩をカウント。施設の大きさが数字にもあらわれ、それを体感してぐったりだった。