鋳物製調理器具の製造販売などを手掛ける株式会社三条特殊鋳工所(内山照嘉代表取締役社長・新潟県参三条市福島新田)は、先の台風19号で大きな被害を受けた栃木県佐野市の被災者支援にと12月21日(土)、22日(日)の2日間、佐野市のJR佐野駅前で同社の顔とも言える鋳物ホーロー鍋「UNILLOY(ユニロイ)」150個を被災者に無料配布する。
UNILLOYは2013年に誕生した世界一軽い鋳物ホーロー鍋。2015年に世界三大デザイン賞のひとつ「レッドドットデザイン賞」でベスト・オブ・ザ・ベストを受けている。今回、配布するのは20cmと22cmの深型と24cmの浅型の3種類で、色はまちまち。販売価格は2万5千円前後になる。
配布を受けるには罹災証明が必要。佐野駅前にテントを設置して21日は正午から午後4時まで、22日は午前9時から正午まで配布し、なくなりしだい終わる。UNILLOYとあわせて三条市下田地区産の新米コシヒカリ3合も配布する。
取り組みの発端は社員だった。三条市は平成16年7月新潟・福島豪雨で五十嵐川決壊による7.13水害で大きな被害を受け、自宅が浸水被害を受けた社員もいる。ことしは台風19号で同じような被害を受けた人たちの支援に何かできないかという声が社員から上がった。その話を受けて内山社長も開発事業部の山森正人取締役事業部長も快諾した。
台風19号は広い地域に被害をもたらした。そのなかから佐野市を選んだのは、鋳造つながりから。佐野市では伝統工芸「天明鋳物」が受け継がれている。台風19号がもたらした豪雨で佐野市は秋山川が決壊し、広範囲に浸水した。佐野市に配布について問い合わせ、紹介してもらった佐野市災害ボランティアセンターと相談して佐野駅前で配布することにした。
同社がこうした社会貢献を行うのは初めて。山森部長は「社員から声が上がったのが非常にうれしかった。ボトムアップでみんなの意見を出し合って社会貢献したい」と喜ぶ。「三条も水害で悲しい思いをしたが、この鍋で佐野市で被災した人たちが少しでも笑顔になってくれれば」と願った。