集団予防接種の注射器使い回しでB型肝炎に感染した患者の国への訴訟を支援する全国B型肝炎訴訟新潟原告団のB型肝炎患者講義を聴講した新潟県三条市・県立新潟県央工業高校(木村栄一校長・生徒453人)の生徒が校内で募金活動を行って寄せられた1万2千円を12月24日、新潟原告団に寄付した。患者講義を受けての募金、寄付は全国でも初めてと言う。
B型肝炎患者講義は2014年に始まり、12月10日までに全国の大学、専門学校、高校など372カ所で行われ、約3万7千人が受講した。県央工高では9月19日に人権教育、同和教育講演会として行い、同校では3年ぶり2回目で、県内では5回目の実施。弁護士がB型肝炎が注射器の連続使用で広まったことなどを話したあと、2人の患者が現状を話し、再び弁護士からB型肝炎や患者に対する正しい情報を伝えた。
患者のひとりは25歳になった息子が肝炎を発症し、それ以来ずっと母子感染で自分が息子を感染させたのではないかと不安にかられ、自分を責め続けている。もうひとりは30年前に感染を知ってB型肝炎で心身ともに追い詰められながら子どもから骨髄移植を受ける病気をわずらったことなどを話した。
この講義をきっかけに、建設工学科の2年4組(生徒32人)が動いた。11月9日の文化祭で教室に枯山水を設置したのにあわせてそこで原告団への寄付を呼びかける校内募金を行ったほか、募金箱を持って校内を回って募金した。
2年4組の文化祭実行委員の山崎真寛さん(16)と石月翔也さん(17)、それをサポートする西方優生さん(17)と長谷川幸祐さん(17)の4人が中心となって取り組んだ。寄せられた善意に端数を職員が足してちょうど1万2千円にした。
募金をしようと最初に声を上げたのは山崎さん。山崎さんは昨年の文化祭でユニセフの募金を行った経験がある。「すごく強い印象を受け、自分が感染していたらどうだっただろうと思い、自分が力になれることはないかと募金しようと思った」と山崎さんは話す。
24日は全国B型肝炎訴訟新潟原告団代表の神田光広さん(70)=新潟市東区=と全国B型肝炎訴訟新潟弁護団代表の足立定夫弁護士が来校。2年4組の教室で山崎さんがあいさつ、西方さんから神田さんに寄付を贈った。神田さんがあいさつのあと新潟原告団からの感謝状を長谷川さんに手渡し、足立弁護士があいさつ。生徒は石月さんをリーダーに激励の校歌斉唱を行った。
原告団は患者の和解金の1%を活動資金に充てている。神田さんによると、患者講義をきっかけした寄付は全国でも初めてと言う。神田さんは1984年にB型肝炎にに感染していることがわかり、肝細胞がんで11月5日に手術して入院していたところ、生徒の募金活動の報告を受け、「涙が出るような思いだった」と感激し、生徒たちの取り組みに「一人ひとりをまとめて大きくつながり、何倍に何十倍にも広げてくれてありがたい」と感謝していた。