式内社で創建726年になる新潟県加茂市の青海神社(古川洸宮司)は、2020年1月1日から3日までの正月三が日、東京五輪聖火リレーの新潟県ランナーにも選ばれた地元加茂市の書家、泉田佑子さん(43)直筆の書画による新年特別限定の朱印を発行する。
泉田さんから青海神社拝殿に作品を奉納したのがきっかけで、奉納した作品の和歌の一節を朱印帳の見開き2ページを使って書く。和歌は古川洸宮司(73)が奉納のためによんだもので「幾千年の基より生れした筍 さす竹の久しき大御國を見ゆ」。その「さす竹の…」以降の一節を書く。さらに正月を祝ってウメの花も描く作品と呼ぶにふさわしい朱印だ。
3日間とも正午から午後1時までの1時間を除く午前10時から午後4時まで社務所で受け付け、発行する。泉田さんは振り袖を着て朱印を書く。初穂料は千円。
古川宮司と泉田さんの自宅は隣り合っていて、古川修権禰宜(ごんねぎ)(41)とは泉田さんは幼なじみ。拝殿には奉納された書画を額に張って壁に飾ってあり、中には富岡鉄斎の作品もある。作品の風化が進み、いたんできたため昨年、額を新しくして張り替えた。
そのうち1点は修復不可能なほどいたんでいたため修復をあきらめ、代わりに泉田さんが書画を制作して張り、ことし4月に奉納した。泉田さんはことしの正月に青海神社でみこも務めた。そもそも青海神社がふだん発行している朱印も泉田さんが手本を書いていて、縁が深い。
11月24日から28日までギリシャで開かれた第44回ジャパンウィークに泉田さんの大作「光華(こうげ)」が展示された。五輪発祥の地での実績が評価されたかどうかはわからないが、2020年6月に行われる東京五輪聖火リレーの新潟県ランナーにも一般公募に応募して選ばれるなど、泉田さんはいろいろな角度から注目を集めている。
泉田さんは書家だが「文人になりたいと思っている」と泉田さん。「絵を入れて皆さんから楽しんでいただけるよう目指している」。神職以外が朱印を手掛けるのは珍しく、「お声がけいただきありがたいと思っている」と言い、来年は五輪イヤーなので「五輪を見て希望をもつお手伝いができるような年にしたい」と言う。
古川権禰宜は泉田さんの朱印を発行できることを「またとない機会」と喜び、「ことしの感謝と来年の平穏を祈ってお参りしていただきたい」と願っている。