2020年幕開きの1月1日、新潟県三条市で毎年恒例の元旦マラソン大会が開かれ、五輪イヤーと三条市体育文化会館開館を記念して五輪メダリストの元女子マラソン選手の有森裕子さんをゲストランナーに迎え、前回の1,829人を上回る史上最多の1,949人が参加して元旦の三条を駆け抜けた。
旧三条市が2005年までに34回開いた元旦マラソン大会を引き継ぐ形で三条市合併後の翌06年から毎年開かれている大会。09年からランナーズチップを導入し、ネットでの参加者募集に力を入れ、市民ランナーの増加もあって参加者は右肩上がりで増え続けている。
ことしは2歳から84歳まで1,748人が参加を申し込み、当日のオープン参加を含めて1,949人が参加。第1回大会は931人が参加し、ことしは初めてその2倍を超えた。会場の三条市体育文化会館は昨年12月1日に開館。旧三条市から2016年までこの場所にあった三条市総合体育館で開かれ、その解体、三条市体育文化会館の建設中は三条市厚生福祉会館に会場を移して開催。3年ぶりにこの場所に元旦マラソンが戻ってきた。
開会式で国定勇人市長は「きょうは栄えある新体文の元旦マラソン」とし、1992年のバルセロナ五輪で銀メダル、96年のアトランタ五輪で銅メダルを獲得した有森さんがアトランタ五輪のインタビューに答えて流行語にもなった「自分で自分をほめたい」という言葉にかけて「皆さんもそれぞれのコースで全力をふりしぼり、自分で自分をほめられるようなマラソンを」と選手を激励した。
坂本聡さん、里紗さん親子が選手宣誓、10回刻みで出場が10回から40回になった選手を表彰したあと、ゲストランナーの有森さんが入場。有森さんは「元旦の朝からこんなにたくさんの方がいらっしゃる場所で新年を迎えられてうれしい」、「きょうは皆さんと新年早々、元気に走り始めたい。ことしは2020東京五輪・パラリンピックだが、それに負けないぐらいのスタートの年を皆さんとともに盛り上げたい」とあいさつした。
競技は3km、5km、10km、歩け歩け(3km)の加えて2020年にちなんで2020mを新設。歩け歩け以外ははタイムを競い、男女別の年齢別で表彰した。開会式が始まる午前8時は市内は雪で一面の銀世界だったが、レースが始まるころには道路の雪はとけ、屋根に雪が残るていどだった。
三条の明け方の最低気温は0.2度、日中の最高気温も4.3度と冷え込み、青空がのぞいて日が差すこともあれば、雪が降り、さらに雨に変わることもあったが、三条の元旦マラソンでは「ふつう」のコンディション。荒れないだけましだった。
スパイダーマン、ねずみ年にちなんでネズミ男をはじめてゲゲゲの鬼太郎のキャラクター、スーパーマリオ、動物の着ぐるみなどの仮装で走る人もあり、上位入賞や自己タイム更新をねらう人もいれば、楽しむことを優先して走る人もあり、それぞれの思いを込めて走り初めした。
元旦マラソン初参加の44歳の男性は「この時期に走ったことがないからどんな格好で走ったらいいかわからなかった。正月から走るのは気分がいい。きょうはやりきったから、ことしはもういいかな」と笑った。毎年、出場している三条市栄地区のグループ「猫パンチング」に所属する36歳女性は「厚生福祉会館よりこっちの方があったかくていい。このきれいな体育館から2020年を気持ちよくスタートできる」と声を弾ませた。
有森さんは小・中学生の3kmコースに参加したほか、10kmコースのスタートでスターターピストルも鳴らした。
その後のトークショーで、ゲストランナーでは最後のランナーまで迎える主義と話した有森さんは、後方のグループに入ってゆっくりと走り、「はい、ラストー!」、「頑張って!」と激励。スターターピストルを鳴らすと「雪に負けるな!いってっらっしゃーい!」と両手を振って選手を見送った。
トークショーには、走り終わったランナーを中心に約250人が参加し、あこがれのメダリストの話に目を輝かせて耳を傾けていた。