新潟県燕市の鈴木力市長は仕事始めの1月6日午前9時半から市役所で集まった約250人の職員を前に年頭の訓示を行った。今の燕市に吹く「天上新風」を捕らえて羽ばたき続けたいと新年に期待した。
鈴木市長はまず年末の窓口延長やふるさと納税の業務で新年早々に登庁した職員に感謝した。年末年始休みは箱根駅伝で青山学院大学の2年ぶり5回目の優勝に貢献した燕市出身の1年生岸本大紀さんの活躍に「大変、興奮した」、TBSの新春ドラマ「義母と娘のブルース」に「笑いながら最後は泣いてしまった」。本を5冊、読んで「いつもよりものんびりしたなかにもいろんなことができた休みだった」と振り返って始めた。
ことしのえとの「庚子(かのえね)」は、新たな芽吹きと繁栄の始まりで、新しいことを始めるのに適した年と言われる。自身は1960年生まれの年男で還暦を迎え、「あらためて生まれ変わった気持ちで市政運営の先頭に立って取り組んでいきたいと年頭、決意した」。
昨年、第二次総合計画の中間評価で想定以上に人口減少が進んでいることが明らかになった。新年度はあらためて子育て支援施策を再編、整備し、総合的にしっかりと取り組むスタートの年にしたいと思った。県が財政問題で揺れているが、燕市はそうならないよう「早め早めに取り組んでいく必要がある」。
公共施設の保有量の適正化計画に基づいて市民の理解を得ながら施設の統廃合を進め、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)いう新しいシステムを導入して業務を改善するなど行財政改革にしっかりと取り組んでいく。
昨年は国道116号吉田バイパスが都市計画決定され、県央基幹病院も規模や機能は別にして予定通り建設する結論が出た。燕市も施設の統廃合を進めるうえで20年後、25年後の燕市をどういう方向性でまちづくりをしていくのかあらためて描き直すことが必要になる。令和7年が目標の都市マスタープランは前倒しで取り組む必要があるが、まずは目の前の新年度予算をしっかり仕上げる。
昨年は注意力の欠如による事務処理ミスで市民に大きな迷惑をかけたが、しっかり対策をとっていかなければならない。経営の神様、ドイツのピーター・ドラッカーは、組織の目的は人の強みを成果に結びつけ、人の弱みを中和することと言う。ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワンであらためて組織全体で業務マニュアルを点検し、互いにカバーして組織全体としてそれぞれの能力を発揮し、成果に結びつけていく仕事のスタイルを確立してもらいたい。先輩、上司が若手、後輩に教え、学び合い教え合う組織風土も必要で、「職場研修等を通じてしっかりとそういったことにも取り組んでもらいたい」。
広報紙の1月1日号では、燕市に移住した人との座談会を掲載したが、「燕市に何か新しい風を彼らが吹き込み始めている」と感じた。つばめ産学協創スクエアに学生がどんどん着て、2020年東京五輪の選手村に燕市のオリジナルカトラリーの採用が決まった。
ドラマに立て続けに燕市のものが取り上げられた。晩年を燕市分水地区の国上山で過ごした越後の禅僧、良寛は凧揚げする子どもにせがまれて「天上大風」と書き上げたと言う逸話がある。今の燕市の天井には「大きな壁とは言わないが、確かなる新しい風が吹き始めている。天上新風。新しい風をしっかりとらまえて日本一輝くまち燕市の実現に向けて引き続き羽ばたき続けたい」と職員に協力を求めた。