1月19日深夜から新潟県燕市で突風により建物2棟が全壊するなどの被害が発生したことから翌20日、新潟地方気象台は現地調査に入った。
全壊したのは、白山町3地内の作業場と小高地内の会社の倉庫。いずれも木造平屋建てで、作業場は20日午前0時前、倉庫は近所の人の話では午前6時ごろ倒壊したらしい。
周辺の被害が大きかったのは作業所で、レストラン「ニューアメリカン」の道路をはさんで向かい側、えみ美容室や阿部石材店の裏手。作業場のほかに9カ所でシャッターの破損、窓ガラスが割れる、瓦や外壁がはがれる、自動車の窓ガラスが割れる、外周フェンスが倒れるなどの被害があった。
作業場は75歳の女性が部品を袋に詰める軽作業を行うために借りているもの。建物裏手に駐車してあったとなりの家が所有する車も建物の下敷きになり、動かせない状態になっている。
近所の人の話では、強風で30秒近く地震かと思うほど激しく家が揺れた。続いて大きな音を立てて作業場が倒れた。「つむじ風が入ってきて、あーっと思ったら前の家が倒れた始めた」、「突然、バーン!といって、ドーン!と揺れた」と話す人もいた。
日曜の夜だったが、作業場を借りる75歳の女性は仕事が終わらず土、日曜と日中、作業場で仕事をしていた。「昼だったら家の下敷きになっていた」と言い、がれきとなった建物のなかから使えそうな部品を拾っていた。
19日夜から風が強まったが、瞬間最大風速は三条で19日が11.5メートル、20日が13.3メートルと冬の嵐としては驚くほど強くはなかった。ただ、夜が遅くなってから激しい落雷があり、大気は不安定なようだった。
突風の調査のため、新潟地方気象台は機動調査班を編成して職員8人が午前11時に燕市役所を訪れたあと、市職員と打ち合わせして現地調査に向かった。作業場周辺では被害状況、被害カ所の位置関係、周辺住民への聞き取りなどを行った。突風が吹いたときは強い雨が降ったか、耳が痛くなったか、急に気温が下がったかなどを原因究明につながる質問をしていた。
新潟地方気象台の中村辰男次長は、自身は突風調査は初めてで「実際にこのように建物が激しく壊れているのを見て非常に驚いている」竜巻やダウンバーストが考えられるが、現時点では特定できないと言い、夕方までに一定の結論をまとめるとした。
また燕市では被害のあった周辺住民に対して、罹災証明書発行の申請手続きなどについて説明した。