昨年10月13日に通水以来、最大の水位を記録しながら破堤せずに越後平野を守りきった新潟県燕市・大河津分水をテーマにした講演会が1月26日、地元の燕市分水公民館で開かれ、会場いっぱいの約300人が来場して講演に聴き入った。
NPO法人信濃川大河津資料館友の会(氏田公輝理事長)主催の講演会「信濃川・大河津分水の未来を考える会」が開かれた。講師は3人で、信濃川河川事務所計画課の丸山友之課長が「10.13の大河津分水」、NHK新潟放送局の山崎智彦アナウンサーが「メディアと大河津分水と私」、長岡技術科学大学の松田曜子准教授が「住民参加型水害対策のデザイン」をそれぞれテーマに話した。
国交省北陸地方整備局信濃川河川事務所の室永武司所長はあいさつで、「長野で大雨が降ると12時間後に洪水が来る。過去からまったく同じパターン」で、12時間後にめがけて土のう積みや巡視を行って「なんとかしのぎきった」と昨年の大雨を振り返った。
国が直轄する河川の堤防が切れるのはそれまで10年に1回くらいだったが、この10年は毎年1回くらい切れている。「今回の台風19号に至っては1発の台風で直轄河川12カ所で破堤した。われわれは河川整備を一生懸命、頑張っているが、それを大幅に上回るようなスピードで気象が凶暴化している」とし、「皆さん自身も自分の身をどうやったら守れるのか、講演会で一緒に考えてほしい」と話した。
最初に講演した丸山課長も、昨年の大雨で大河津水位観測所の水位は、計画高水位の16.28メートルを大きく超える17.06メートルを記録し、1982年の16.23メートルを上回って観測史上最高水位を更新する危機的状況に「生きた心地がしなかった」と繰り返し、ドローンで撮影した当時の大河津分水の映像も紹介した。