2月10日の「ニットの日」にあわせて国内最大のニット産地、新潟県五泉市で2月8日から10日までニット工場を公開するオープンファクトリーイベント「GOSEN KNIET FES(五泉ニットフェス)」が開かれている。
地域全体がニットで盛り上がろうと毎年、実行委員会を組織して開かれており、ことしで5年目。ことしは「5 SEASONS kitchen」をベースキャンプに、五泉市内17工場が参加してニットが生まれる現場を体感できる。日によって見学できる工場は異なり、それぞれ午前10時半、午後1時半、3時半の1日3回、見学できる。
初日8日は雪が降ったりやんだりで厳しい寒さだったが、県外から訪れる人も目立った。OEMを基本にオンラインストアにも取り組む株式会社高橋ニットの午後1時半からの回には約30人が参加した。
同社の歴史や国内のニット生産の約4割を新潟県が占め、さらに65%以上を五泉市、30%を見附市が占めるといった話に始まり、同社の歴史やニットの特徴などについて聞いた。それから3つのグループに分かれてずらりと並ぶ織機の間を歩いて工場内を見学した。
カシミヤは完成後に洗濯することで柔らかな風合いが生まれるが、100%にするとその後は自分で洗濯すると縮むなど風合いが落ちていくため、70〜80%にとどめて買ってから洗濯を繰り返すことでさらに風合いが良くなるよう計算しているという話に感心。見学者は女性が多く、「すごい!」、「糸ばっかり!」と目を見張っていた。
五泉市と言えば先のラグビーW杯の日本代表で「笑わない男」として一躍、時の人となった稲垣啓太の出身地として注目を集めたが、稲垣選手がプレーする写真をデータ化したタペストリーのようなサンプルもあった。
株式会社ナックは、原料と製品の企画提案、原料の手配から編み立て、整理加工、縫製、検品出荷まですべての工程を社内に設備する五泉市のメーカーのなかでもユニークな会社。輪になったマフラーのようなスヌードの製造工程を中心に見学した。大半の見学者がスヌードにニットの特殊なリンキングと呼ばれる縫製作業を体験するワークショップに挑戦した。編み目を一目一目、専用の機械にセットする細かな作業に集中し、その大変さを実感。完成すると「達成感ある!」と喜んでいた。
ことしは五泉高校とのコラボプロジェクトで8日だけ生徒が企画し、旅行代理店と企画したニット工場や飲食店を回るバスツアーを行い、生徒がガイド役も務めた。ベースキャンプには、インフォメーション、セレクトショップ、カフェコーナーを設置しているが、ベースキャンプの運営にも生徒が協力している。
五泉ローカリストカレッジ「地域を編集し発信できる人材養成」受講生は、8日に10チームが参加してクイズ大会「クイズ五泉王」を行い、8、9日と五泉ニット協同組合で五泉ニットクラフトマルシェを行っている。
9日だけ午前10時から午後4時までガーデンホテルマリエールでニット販売感謝フェアを開催。また3日間とも「五泉オープンストリート」として市内15店舗が限定商品の販売や見学、店や地域の話が聞けるなど工夫を凝らしている。