3月3日の「ひな祭り」にあわせて新潟県新潟市西蒲区岩室温泉で2月21日(金)から3月5日(木)まで恒例の「岩室温泉ひな巡り」が開かれている。北国街道沿いに温泉旅館が並ぶ温泉街を散策しながら温泉旅館をはじめ商店、飲食店、金融機関、寺、理容店、公共施設など29カ所に飾られたひな形を鑑賞してもらっている。
2012年に岩室温泉のまちあるきのおもてなしとして始まったイベント。ひな人形の展示だけでなく芸能披露や抹茶のおもてなし、ひなランチ、スタンプラリー、天神講色付けやつるし雛づくりなどのワークショップと、関連イベントも盛りだくさんだ。
拠点は、かつて芸妓(げいぎ)の置屋だった風情ある建物を使った能面アトリエ「無匠庵」。江戸時代半ばに流行した享保雛(きょうほびな)から現代のひな人形、土人形、タマゴの殻を使ったひな人形、つるし雛などを所狭しと展示する。初日21日は132人が来場し、22日は午前中で約80人が来場してにぎわった。
新しい趣向で、展示会場にひな人形とあわせて旧岩室村の8人の作家による絵画、竹細工、書道、版画、彫金、ロックペイントなどの作品がコラボレーション。レストラン「KOKAJIYA」前には石にネコなどが描かれたロックペイント作品が並び、インスタ映えする撮影ポイントにもなっている。
ひな巡りにあわせて岩室温泉となりの福井地区でも今回初めて旧庄屋佐藤家、本間屋(ゆべし)、茶店さとやまの3カ所にひな人形を展示している。旧庄屋佐藤家では3組のひな人形を飾り、うち1組は旧庄屋佐藤家を管理する斉藤文夫さん(87)が所有する。
25年度ほど前に群馬県川場村の道具屋で5千円で購入した江戸時代のものと思われるひな人形で、衣装は色があせて傷みが激しいが、顔は保存状態が良好で、現代のひな人形にはない高貴な雰囲気を漂わせる。また、南宗画家の伊東日陽がひな人形を描いた掛け軸も展示しており、価値のあるものという。
餅子(ゆべし)で知られる創業190年になる本間屋は、豪華な七段飾りを展示。子どものために30年ほど前に購入したのでそれほど古いものではないが、赤い毛氈(もうせん)が一般的なひな壇が黒塗りなのがシックで豪華だ。それにも増して築100年以上と思われる本間屋の太い梁で組まれた建物も見どころだ。