藤田加茂市長が初編成の予算案は前年度比−16.2%の大幅な緊縮予算だが実質は小幅 (2020.2.26)

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新潟県加茂市の藤田明美市長は2月26日、令和2年度当初予算案を発表した。昨年、市長に就任した藤田市長が初めて編成した予算案。一般会計は118億0,300万円で前年度比−16.2%、22億8,100万円減の大幅な緊縮予算となった。

令和2年度予算案を発表する藤田加茂市長
令和2年度予算案を発表する藤田加茂市長

ただ、中小企業制度融資預託金を大幅に減額したのが大きい。歳出ベースで前年度当初予算の25億4,049万円から9億2,427万円へと−63.6%、16億1,622万円減と、3分の1にまで減らした。それでも平成30年度の中小企業制度融資預託金の支出実績6億6,537万円より40%近くも多く、実態と懸け離れた予算額を実態に合わせ形だ。

歳入ベースでは中小企業制度融資預託金が17億3,469万円減となり、これを差し引いた実質的な予算額は前年度比-4.4%の5億4,631万円減となる。藤田市長は「実質的な予算編成を行った結果」とした。さらに前年度は小中学校体育館空調設備に4億2,000万円も投じており、これも含めれば減少幅はわずかになる。

一般家計と特別会計の合計は、前年度比−11.3%、26億4,545万円減の206億9,064万円。財政調整基金の積み増し分は2,416万円。今年度末で財政調整基金は約4,800万円となる見込みで、先にまとめた行財政健全化推進計画で示した令和4年度の財政調整基金3億円の目標は「今の段階では達成できると思っている」(藤田市長)。

経常収支比率は前年度より1.2ポイント高い99.7%の見込み。財政構造はより硬直化する。藤田市長は「家計に例えるとほとんど自由になる小遣いがない状態」。そのなかでも小遣いを「未来ための投資と今の課題解決のため」に充てたとした。

加茂駅前の商業施設「メリア」の3階を取得する方針だが、具体的な用途が決まっていないので予算には計上しなかった。管理職の2%の給与カットは予算に反映させたが、一般職の1%カットはまだ職員組合と交渉中のため反映させなかった。

予算編成に対する自己採点は百点満点で95点。残り5点は、予算の財政調整基金が4,800万円で、ことし2月に策定した行財政健全化推進計画で目標にした7,000万円に届かなかったのが理由。しかし令和4年度で3億円とする目標には「今の段階では達成できると思っている」(藤田市長)。

冒頭、藤田市長は、人口減少や少子高齢化による税収の減少、地方交付税の減少、公共施設の老朽化に伴う経費の増加など実情に合わせて市民サービスを見直さなかったことなどで厳しい財政状況が続き、財政調整基金の残高が少なくなったと、これまでの財政運営を分析。行財政健全化推進計画で裏付けされた財源を基に、総合計画を策定する。1994年度に策定した2003年度までの総合計画をつくって以来、これまでつくってこなかった。

総合計画に基づいて今ある課題の解決と将来を見据えた投資をし、とくに少子化対策に重点を置く。安心して子どもを産み育てやすい環境の整備、教育環境の充実、若者が定住したくなるまちづくり、産業の活性化、市の情報発信などやるべきことは多いが、「限られた財源のなかで令和2年度当初予算には、今できうることすべてを盛り込んだ」。そして「二度と厳しい財政状況に陥ることがないよう市政を運営していく」と決意を示した。

小池清彦前市長の予算案発表は、小池前市長の説明だけで3時間以上もかかるのがふつうだったが、加茂市長の発表は30分、その後に報道関係者の質問が30分の1時間ていどで終わった。新規事業と事業費、概要は次の通り。

【教育の充実】

  • スクールアシスタント(378万円)学校や生活を支援するスクールアシスタントを全学校に1人ずつ12人を配置。
  • 学習支援員(60万円)学習支援員を雇用して教員を指導する。

【子育て支援】

  • 子育て世代包括支援センター保健師研修費(10万円)子育て世代包括支援センター設置に向けた保健師の研修。
  • 市内全小学校フッ化物洗口(169万円)市内全小学校でフッ化物洗口を実施。

【福祉の充実】

  • 応急診療所の補助金(500万円)県央医師会応急診療所の施設整備費を借入金を加茂市民も負担。4年総額で2,768万円を負担する。
  • 健康づくりポイント事業(27万円)美人の湯無料券などを支給し自主的な健康づくりや検診、健診受診を促進する。
  • 長寿祝い金等贈呈(239万円)100歳に祝い金5万円、88歳に5千円の商品券を贈呈。

【農林業・商工業振興】

  • 創業支援資金融資(2,200万円)加茂市制度融資・限度額1,000万円で利率1%、期間10年以内、信用保証料補助100%。
  • 中小企業経営強化資金融資(2,500万円)加茂市制度融資・融資限度額3,000万円、利率1.5%、期間10年以内、信用保証料補助25〜50%。
  • 「人・農地プラン」作成支援(8万円)JAにいがた南蒲、農業委員会等関係機関と連携して地域の未来図「人・農地プラン」の作成を支援。

【その他】

  • 『総合計画』策定(247万円)加茂市の将来像と政策の方向性を示す総合計画を策定。
  • 『地域防災計画』策定(333万円)平成7年から見直しを行っていなかった地域防災計画を抜本的に見直し。
  • 燃えるごみの収集日の増設(238万円)祝日も可燃ごみ収集を実施。鉄類とガラス類の収集日は月2回から1回に減らすことで前年比952万円を削減。
  • 地方創生推進事業(430万円)ふるさと納税の寄付者などにSNSでの情報発信やモニターツアーを実施し、関係人口、交流人口の拡大とICTを活用した地場産品の販路開拓に取り組む。
  • 地域おこし協力隊(367万円)都市地域から地域おこし協力隊を招く。
  • 移住・就業支援事業(224万円)東京23区から加茂市へ移住し、対象法人に就業した人に単身者最大60万円、世帯移住者最大100万円を支給。
  • ホームページ構築委託(400万円)ホームページをリニューアル。
  • 第九合唱演奏会(821万円)東京交響楽団の演奏で市民合唱団が「第九」を合唱。

【主要建設事業】

  • 街灯LED化(1億3,540万円)市道の街灯をすべてLED化し年間約900万円の電気料を縮減。地方債を充てるがうち市負担額は約7,700万円。
  • 河川改修(2,360万円)防災、減災、国道強靱化のための3か年緊急対策と連携して改修。長谷川820万円、岩野排水路1,540万円の内訳。

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