急速に発達する爆弾低気圧の影響で3月5日の新潟県内は下越地方を中心に暴風警報が発表される強い風が吹き荒れ、三条市では強風で重厚なほこらが風に飛ばされてひっくり返った。
そのほこらは、旧三条競馬場跡地の三条防災ステーションの敷地内の入り口の角にある。階段もある立派な石の台座の上に、県道1号新潟小須戸三条線に背中を向ける形で建っていた。
5日は三条で瞬間歳代風速15.8メートルを記録する強風が吹き荒れた。強風にあおられたほこらは県道側に吹き飛ばされ、歩道との境界の擬木の柵を壊して逆立ちするような形で柵とマツの木にひっかかって止まった。柵もマツもなければ道路にまで吹き飛ばされて車とぶつかる事故にもつながりかねず、このていどですんだのは不幸中の幸いだった。
三条防災ステーションの水防学習館で働く職員が午前8時15分に出勤したときには変わりはなかったが、別の職員が8時半にひっくり返っているのを発見したので、その約15分の間に飛ばされたことになる。
ほこらの広さは2尺(約60センチ)四方。緑青が生じた銅板ぶきの立派な屋根が載っている。小さいながら相当な重さと思われ、いかに風が強かったかわかる。
すぐに職員が三条市に通報し、市ではそれ以上、風で飛ばされないようにトラロープで柵やマツの木にしばりつけ、バリケードを立ててひとまずしのいでいる。
このほこらがまつるのは、馬頭観音。煩悩を断ち、諸悪魔を退ける神とされるが、その名前からウマの守護仏とする民間信仰もある。昔のことなのではっきりとはわからないが、三条競馬場があった時代、競馬場の真ん中に池があり、その池があふれることがあったため、競馬組合と地元で建立。競馬場がなくなってから今の場所に移動したらしい。
ほこらが建つ場所は国が管理する河川敷で、三条市が占用している。建立には三条市・宗正寺がかかわっているようで、市では宗正寺とも相談してほこらをどうするか考える。