「スパ研が行く!!」。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため新潟県三条市は、市内のほとんど公共施設を閉館しているが、まちなか交流広場「ステージえんがわ」(元町)も3月6日から閉館している。そのなかで食堂を営業する「スパ研」こと三条スパイス研究所(熊倉誠之助代表)は休業せざるを得なくなっているが、ならばと10日からキッチンカーで地元企業へ繰り出してテークアウトを販売している。
初日10日から12日までの3日間は、アウトドア用品などを製造販売する三条市北入蔵、株式会社山谷産業の体験型ショップ「村の鍛冶屋」前にキッチンカーで乗り付け、午前11時半から午後2時まで営業している。
メニューは基本のチキンカレーボックス税込み800円、スパイシーカレーフォー900円、甘口キッズカレー500円など。白菜カレー、チリチキン、ラッサム、甘口カレーの4種類のルーだけの販売も行っている。
初日10日は営業開始から来客に切れ目がなかった。会社の昼食で社員で食べる“サラメシ”にと、13人分を予約して受け取りに来た人も。持ち帰らずに「村の鍛冶屋」の店内でも食べられる。昼休みを利用して近所から訪れた40代の男性は「Facebookで情報を見て。スパ研のカレーを食べたことがなく、ちょうどいいきっかけになった。ピリ辛でおいしい」と、思いがけず近くで話題のスパイスカレーを味わうことができ、大満足だった。
スパ研のスタッフのつながりで山谷産業での出張営業が決まった。その後も山谷産業の紹介やスパ研のネットワークで次々と会社への出張営業が決まった。13、14、15日はWEST三条店、16日は庖丁工房タダフサ、17、18、19日は諏訪田製作所、22、23日はマルナオ、30日は新潟安全研究所、31日はレジエのスケジュール。平日は午前11時半から午後2時まで土、日曜は午前11時から午後4時まで営業する。
スパ研代表の熊倉誠之助さん(40)は突然、休業を告げられて戸惑った。「休業の間のアルバイトの食いぶちをどうしようかと。会社としてはそこを守るのが役目」と腹をくくった。7人のアルバイトを抱えている。休業の間、アルバイトを休ませて、別の店を社員だけで回すこともできたが、「そうじゃないなと思った」。
アルバイトといえ収入がゼロになっては申し訳ない。かといってほかの仕事先が紹介できるわけでもない。社員と相談し、なんとかプラスにできないかと考えた。「イベント中止でキッチンカーが空いているし、それで回っちゃおうか」。燕三条で働く社員のランチ代わりにと企業へ出向くことに決めた。
「この1、2日で出張営業を決めた。キッチンカーを動かして良かった。売り上げが立つかどうかわからないけど、とにかく前を向いていく」。とんとん拍子で受け入れ企業が決まり、「地域活動を地でいってる企業が多い」と感謝する。
山谷産業の山谷武範社長は、以前からキッチンカーの営業を試してみたいと考えていたが、思わぬ形で実現した。スパ研を目当てに訪れた人もあり、「相乗効果で客が増えて願ったりかなったり」と喜び、「新しいビジネス展開につながるかも」と期待。新型コロナウイルスの影響は悪いことばかりではなく、新たな可能性の種をまいてくれている。詳しい日程は次の通り。
■村の鍛冶屋(三条市北入蔵2丁目2−57)
3月10日(火)、11日(水)、12日(木) 11時30分〜14時
■WEST三条店(三条市五明241)
3月13日(金)、14日(土)、15日(日) 11時30分〜16時
■庖丁工房タダフサ(三条市東本成寺27-16)
3月16日(月) 11時30分〜14時
■諏訪田製作所(三条市高安寺1332)
3月17日(火)、18日(水)、19日(木) 11時30分〜14時
■マルナオ株式会社(三条市矢田1662-1)
3月22日(日)、23日(月) 11時30分〜14時
■新潟安全研究所(燕市小関577−1)
3月30日(月) 11時30分〜14時
■レジエ株式会社(三条市南新保6−16)
3月31日(火) 11時30分〜14時