新潟県燕市の燕市総合文化センター駐車場に立つ「水道の塔」の名で親しまれる燕市のランドマーク、旧浄水場配水塔。2011年度の大規模改修後、まもなく外壁がはがれ落ちるようなり、周辺を立ち入り禁止にしていたが3月11日、強風が吹いた日中に外壁がはがれ落ち、最も大きな破片は重さ10kgもあった。
午後1時半ごろ、燕市教育委員会職員がはがれ落ちた壁の破片を見つけた。落下してから砕けたものと思われるが、200以上の破片が散乱していた。そのなかで最も大きかったのは野球の塁ベースよりひとまわりは大きい55×45cmで、重さ約10kgにもなる。幸い人や物に被害はなかった。
旧浄水場配水塔は、チェスの駒のように上にいくほど細くなった円筒形。その5階部分に外に張り出してぐるりと一周できる歩廊(ほろう)のすぐ上の部分の壁が強風の影響ではがれたと思われる。
旧浄水場配水塔は1941年(昭和16)の建設。2011年度に地盤改良をメーンに外壁のガラスコーティングを行った大規模改修後は、国登録有形文化財にも登録された。しかし改修工事が終わって4カ月後には外壁のはがれがあり、早くも補修を行った。その後もはがれが続いた。
18年3月にはこれ以上、はがれないように部分的なウレタン塗膜を施すとともに、万が一を考えて周囲、数メートル以内はプラスチックチェーンを張って立ち入り禁止にした。しかし、昨年1月には、旧浄水場配水塔から10メートル以上も離れた所に駐車してあった市職員の車に外壁の破片が当たってフロントガラスが割れる事故が発生。駐車スペースもつぶして立ち入り禁止の範囲を広げた。
そして強風が吹いた今月5日にも2階部分の高さの外壁がはがれ落ち、15×16cmで厚さ1.5cmと、13×18cmで厚さ2cmの2つ破片のほか、小石ていどの小さな破片など44点が落下しているのが見つかった。そのため、6日に業者に構造調査を委託。その時点で今回、外壁がはがれ落ちた部分の危険性が指摘されていた。
燕市は来年度予算案に旧浄水場配水塔を補修するのか、撤去するかなどを検討する委員会を設置する予算を盛り込んでいた。それを待たずに事態は急速に悪化。立ち入り禁止の範囲を広げるとともに、とりあえず来週は応急処置などの検討を業者に委託して行う。立ち入り禁止区域の拡大に伴って中ノ口川の反対側の入り口からは駐車場に入れなくなった。
対応は検討している間にも外壁のはがれ落ちは続く。少しでも早い方針の決定が望まれる。