新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、新潟県内では規模を縮小して卒業式を行う小中学校が多かったが、3月4日から小中学校を休校としている三条市は24日、午前中に小学校、午後から中学校とすべての小中学校の卒業式をとくに規模を縮小することなく行った。
三条市は先に策定した独自の「新型コロナウイルス感染症に係るイベント実施、施設利用等の対応方針(暫定版)」に沿って、小中学校の規模を縮小せずに行った。卒業式の中止反対を直訴した市内中学生もいた。
第三中学校(野村宏毅校長・生徒300人)でも卒業生85人をはじめ在校生、来賓、保護者、職員らが出席し、本来の形で卒業式を行った。唯一、卒業生が下校前に廊下で在校生が見送るのが慣例だが、廊下が混雑して濃厚接触となるため中止した。
前日23日に休校以来初めて登校して卒業式の練習を行って、卒業の日を迎えた。野村校長は式辞で例年通りに卒業式が行えることに感謝し、卒業生に「幸せになること」という最後の宿題を出した。幸せは人それぞれで「自分自身でその宿題の答えを生涯をかけて見つけていってください」と求めた。
卒業生の答辞では、中学校生活3年間を振り返り、これまで15年間育てくれた保護者に感謝し、在校生には新しい第三中を築くよう期待。「一人ひとりが夜空に輝く星のようにきらきらと明るい未来に向かって新しい一歩を踏み出す」と決意を述べた。
恒例で運動会でもともしている「希望の炎」に火を移した。この日の夜、2020東京五輪・パラリンピックと聖火リレーの中止が決まったが、こちらは無事に点火した。
会場の体育館は3月2日に、いすを並べたり紅白幕を張ったりとすでに卒業式に向けた会場設営や消毒を行った。それからずっと止まったままになっていた時間がようやく動いた。
野村校長は「無事に卒業式ができたことが何より。三条市あげて感染予防に努めてもらったおかげで、感謝している」と当たり前に卒業式を迎えられたことを喜んでいた。