新潟県三条市の書家、中村暢子(のぶこ)さん(51)が主宰する書道団体「ー書創ー綺羅(きら)」の2年ぶり5回目の書展が4月3日(金)から5日(日)まで新潟市民芸術文化会館「りゅーとぴあ」(新潟市中央区)4階ギャラリーで開かれる。過去4回は地元の三条東公民館で開き、初めて新潟市に会場を移して新天地で作品を発表する。
中村さんは、かな書道で日展入選や読売書法展読売新聞社賞を受けた気鋭の書家。兵庫県に本部を置く書道香瓔会(こうようかい)の理事、読売書法会の理事・審査員を務め、地元でも新潟県書道協会常務理事や三条美術協会副理事長に就く。
「ー書創ー綺羅」は中村さんが三条市や新潟市で指導する教え子でつくる社中。教え子からの要望を受けて1年おきに書展を開き、今回で5回目になる。
教え子は約50人が1点ずつを展示。第5回を記念して実行委員会でみんなで共通作品に取り組みたという話が持ち上がり、ほぼ全員が1人1点の作品とは別にはがきサイズに自由に臨書を書いた小品も展示する。ただ書くだけでなく、「美curve」、「自由奔放な線」、「強い暖かさ」と気に入っていること、表現したかったことなどを書き添えた。
中村さんはことし1月の書道香瓔会選抜展に出展した3尺×8尺の大作「熱誠」と昨年の日展に出展した巻子「しぐれに」を展示する。「熱誠」は中村さんが好きな大正から昭和にかけての歌人、柳原白蓮が歌を書いた。赤い絹本に赤い紙で裏打ちした燃えるような赤に「激しく、強く、迫ってくるようなもの」を目指して筆を走らせた鮮烈な作品だ。師と仰ぐ書道香瓔会会長の榎倉香邨さんと、かなフォーラム主宰の原奈緒美さんの賛助作品も展示する。
以前から三条市だけで展示するのはもったいない、新潟市でも展示してほしいという声があった。第5回の節目でついに新潟市での開催を実現する。ただ、新型コロナウイルスの感染防止のため、会場で中村さんが作品解説するつもりだった列品講座は中止した。
開幕前日の2日、午後から教え子と展示作業を行った中村さんは、「こんな状況下、かなり迷いましたが、展示作業をしているみんなが楽しそうだったので、まず安心。サクラがちょうど咲く時期、何も楽しめることがない今に、少しでも安らぎと楽しみの空間が提供できれば」と願っていた。午前10時から午後5時まで、最終日5日は午後3時半まで開場。入場無料。