こま犬もマスクを着けて疫病退散。新潟県燕市宮町の戸隠神社(星野和彦宮司)は、新型コロナウイルスの感染防止にこま犬の力も借りようとのこま犬にマスクを着けた。ユーモラスな姿と裏腹に込められた思いは深い。
マスクは星野宮司の手作り。4月9日、ハンカチを使って縫って作り、こま犬に着けた。新型コロナウイルス感染症対策としてマスクの需要が急増。本当にマスクが必要な人の手に入らなくなっている。
星野宮司は「感染をうつす側になるんじゃないかと思っている。不要不急な外出を避けるように、みんなで気をつけようというデモンストレーションでもある」と言う。
神社は地域のコミュニケーションの中心であるというのが、星野宮司の持論。医者ではないが市民、氏子に対して感染の終息を願い、感染防止対策を促すが役割があると考える。
毎朝午前7時から行っている御日供祭(おにっくさい)と、毎月1日と15日に行っている月並祭(つきなみさい)で疫病退散を祈っている。5月16、17日の春季祭礼では、600年続く星野家秘伝の真言(しんごん)を唱え、参拝者には災厄や疫病を払う「蘇民将来(そみんしょうらい)」とある特別な護符(ごふ)を授与する。
神職としての歴史に根差した思いは深い。伊勢神宮は第10代崇神(すじん)天皇が大流行した疫病を鎮めようと成立した。奈良・東大寺の大仏も天平の疫病大流行で第45代聖武天皇が建造を命じた。「今はそれに匹敵する国難と考えなければならない」と星野宮司は訴える。
「朕(ちん)の不徳が致すところ」は、聖武天皇の言葉で、災厄や飢饉は天皇である自身に不徳、勢いがなかったという意味。今の天皇陛下もそういう思いだろうと考え、「昨年、天皇陛下が即位され、1日も早く靖国神社を参拝される環境をつくっていかなければならない」と話している。