新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐひとつ策として早くから政府は人と人との接触を減らすため、出勤せずに自宅で働くテレワークを求めてきた。緊急事態宣言もあってここに来て接触を7割、8割の大幅な削減を求めている。
三条市では3月26日、いち早く東京都との職務上の往来禁止などを始めた。ところが民間企業では2月中から東京出張を控えているという話を聞いて驚いた。3月12日に燕市の業界4団体が会社で感染者が発生した場合に生産をほかの会社が支援する協定を結んだ。民間企業にとって感染者の発生は会社の存続さえ脅かしない。それだけに動きは早い。テレビ会議は企業や団体、仲間同士などさまざまな場面でふつうに活用されるようになった。
ところが行政はどうだろう。古くは週休2日制導入から働き方改革など行政は内部で率先して進めてきたが、市役所でテレワークを進めるという話を聞かない。テレワークを推進する立場なのになぜ行政自身はテレワークを進めないのか。「隗より始めよ」だろうと、しばらく前からもやもやしていた。
時間があったので三条市職員に確かめたら、検討は始まっていると言う。燕市職員にも聞いたらどこまで意識が共有されているかはわからないが、すでに頭のなかにあった。と思っていたら国定勇人三条市長はブログ「三条市長日記」で「今回の危機は社会変革を促すのか…: 三条市長日記」を投稿し、三条市でもテレワークなどの対応を図ることについて書いていた。「釈迦(しゃか)に説法」だった。
テレワークは出社できないための代替措置というだけでなく、新しい可能性も生まれている。テレビ会議は物理的に同じ空間に集まる必要がないので、小まめに回数が多く開くようになった。テレワークによって無駄が見えたり、効率化が進んでいるという声も聞く。まさにピンチはチャンスだ。結果的に市役所の変革にもつながることを期待したい。