元祖「背脂ラーメン」で知られる90年近く続くラーメン店、新潟県燕市にある「杭州飯店」(徐直幸店主)は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、大型連休中の4月28日(火)から5月6日(水)まで店内での営業、イートインを中止。持ち帰りのテークアウトだけの対応とすることを決めた。
知らない人も多いが、杭州飯店は以前からテークアウトに対応している。スタンダードな「中華そば」850円は新品のペットボトルにスープを入れ、生めん、具材と一緒に2人前から販売。通常の価格に加えてペットボトル代100円が必要なので、2人前1,800円から販売している。
ラーメン類のほか、チャーハン、餃子、牛すじ煮込みなどほとんどのメニューがテークアウトに対応している。テークアウトだけの期間は、午前11時から午後6時まで営業する。
杭州飯店はラーメンの名店として全国に知られる。ふだんから県外客が多く、週末ともなれば駐車場は県外ナンバーが過半数を占めることもある。
緊急事態宣言が全国に拡大され、最近になって県内の感染者は県外で感染したと思われる人が増え、全国でも移動の自粛が求められている。24日には「東北・新潟緊急共同宣言」が出され、大型連休に向けて県境をまたいだ移動を極力、減らすよう求められた。杭州飯店で最近は寒い日が続いているが、窓を開けたまま風通しを良くして営業するなど感染防止対策に努めてきた。
新型コロナウイルスに感染して肺炎になったコメディアンの志村けんさんが3月29日に死去すると、目に見えて客が減った。最近の客数はこれまでの3分の1ほどまで落ち込んだ。店主の徐直幸さん(49)は「スタッフが感染するとかしないけでなく、店を使ったお客さんから感染者が出てしばらく営業できなくなる」と言う。
すでに県外から大型連休中の営業に関する問い合わせもあり、営業を続ければ県境をまたいだ移動を助長しかねず、大型連休は店内で営業しないという苦渋の選択をした。徐さんは「みんなおっかながって、ここまでくるとどうしてみようもない」とあきらめながらも、せめてテークアウトの利用を待っている。