コロナウイルス感染拡大防止のために帰省を自粛して県外で暮らす新潟県燕市出身の学生に物資を送って支援する作戦の第2弾は燕市のソウルフード、背脂ラーメン。大型連休中には届くようにと4月28日、発送作業を行った。
燕市の有志が企業や個人に寄付を募って始めた取り組み。燕市出身の18歳から30歳までの学生にコメ5kgと布マスク1枚を送って学生を励ましている。その第2弾として今度はドイツや東京を含め11店舗を経営する燕市のラーメン店「酒麺亭 潤」が背脂ラーメン600食分を寄付することにした。
燕市は1人に2食分を300人に送ることにしたが、すでに約500人の申し込み登録があった。足りない分は集まった寄付で背脂ラーメンを購入して送ることにした。店舗で食べると税込み800円の「中華そば」が冷凍便で届く。通販は1度に3食分以上の販売で1食分850円と2,550円からになり、プラス送料がかかる。
28日は燕市・つばめ産学協創スクエアで「酒麺亭 潤」のスタッフや燕市職員、ボランティアら10人余りが参加して箱詰め作業を行った。段ボール箱を作ってからその中に流れ作業で凍らせためんやスープ、具材、それに「懐かしいふるさとの味で、少しでも気持ちを和らげてもらえたら」とある鈴木力市長のメッセージを詰め、冷凍便の専用車両に積み込んだ。
「酒麺亭 潤」の代表取締役社長、松本潤一さん(54)は、一連の取り組みが始まる前から同じような取り組みを考えていた。学生の帰省自粛は、松本さんにとっても人ごとではなかった。
東京で飲食の道へ進んだ社会人2年生の子どもがいる。新型コロナウイルスの感染を広げてはならないため、「帰って来るなよと言ったのが切なくて。ラーメンを送るよと言うと喜んでくれて。こういう子がいっぱいいると思い、燕を元気づけたいと思ってたところにタイムリーにコメを送るという企画があった」と松本さんは話す。
自身は学生の情報をもたず、個人情報の問題もあっていざ実現するには課題もあった。燕市に相談すると、逆にコメとマスクを送る取り組みのなかでやらせてもらえないかと提案を受け、背脂ラーメンもその仕組みを借りて送ることにした。
コメとマスクを送る取り組みは全国の注目を集めたが、それに続く背脂ラーメンの発送も計画が公表されると反響を呼んだ。以前からネット通販は月に100食も出ないくらいだったが、背脂ラーメンを学生に送ることが広く紹介されると、1日に100食ていどが発送の限界なのに、100食から200食もの注文が入るようになった。
「取り組みに感動したとか、注文ぐらいしか応援できないからという声をもらった。そういう皆さんに支えられている」と松本さんは感謝。帰省を自粛する学生には「本当ならゴールデンウイークになると帰省した学生がうちの店に来てくれる。たかだか、これくらいしかできないけど、ちょっとでも帰る場所を思い出してくれればいい」と願っている。