県内唯一の国宝「火焔型土器」を展示する新十日町市博物館開館 (2020.6.4)

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新潟県内で唯一の国宝、火焔(かえん)型土器などを収蔵する十日町市博物館(佐野誠市館長・十日町市西本町1)の新しい建物が完成して6月1日、オープンした。コロナ禍に振り回されたなかでのスタートとなったが、切れ目なく来場者が訪れている。

新十日町博物館
新十日町博物館

新しい博物館は、鉄筋コンクリート造2階建て、延べ床面積約3100平方メートル。2017年に着工し、総工費は約24億円。1階が展示室、2階が収蔵庫で、外壁は白を基調に雪の結晶や火焔型土器の文様をデザインした。

常設展は「縄文時代」、「織物の歴史」、「雪と信濃川」の3つのテーマに分かれる。数多く展示する国宝の火焔型土器のなかでも有名な笹山遺跡から出土した縄文時代中期の深鉢型は独立したガラスケースに納め、360度で鑑賞できるようにした。

エントランスから「縄文時代」、「織物の歴史」、「雪と信濃川」の3つのコーナーへの導入
エントランスから「縄文時代」、「織物の歴史」、「雪と信濃川」の3つのコーナーへの導入

さわることができる火焔型土器のレプリカやパズルのように破片を組み合わせて完成させる火焔型土器、エントランスホールの市内の立体地図にプロジェクションマッピングを施した市の紹介、VRで自分が縄文人の服を着て画面に映し出されたり、画面上で好きな図柄を選んで自分だけの着物を完成させるといったインタラクティブなコーナーもある。

7月12日まで開館記念特別展示「国宝 笹山遺跡出土深鉢形土器のすべて」を開き、笹山遺跡出土深鉢形土器57点すべてと浅鉢形土器5点を展示している。

「縄文時代」
「縄文時代」
360度、どの角度からも見られる縄文時代中期の深鉢型
360度、どの角度からも見られる縄文時代中期の深鉢型

新しい十日町市博物館は、旧十日町市博物館に隣接して建設された。十日町市が合併特例債を活用して建設した最後の施設。旧博物館は1979年(昭和54)に開館した。老朽化よりも耐震強度不足が問題になり、建て替えることになった。耐震化しても5億円から6億円の費用がかかる。

当初は旧博物館を取り壊し、同じ場所での建設を考えたが、工事期間中に国宝や重要文化財を安全に保管する施設がないことがわかり、場所を変えて新築することにした。十日町市を筆頭に信濃川火焔街道連携協議会は、2020東京五輪・パラリンピックの聖火台に火焔型土器の採用を目指していたため、開幕前の新博物館完成を設定。逆算して建設計画を進めた。

「織物の歴史」
「織物の歴史」
「明石ちぢみ」など
「明石ちぢみ」など

完成してもコンクリートは強アルカリ性をもつため、文化庁は完成から2年間は展示、収蔵を認めていないので、2年以上前に建物は完成していた。6月5日は聖火リレーが新潟入りし、十日町市のゴールがこの新博物館の予定だった。関係者は新博物館の前で大勢の市民が集まって成果を迎える場面を想像していた。

予定通りに6月1日に開館したものの、新型コロナウイルスの影響で五輪も聖火リレーも延期になった。1日のオープニングイベントもとりやめた。さらに新しい十日町市のインバウンド、観光の資源にと期待し、小西美術工藝社のデービッド・アトキンソン社長のアドバイスを受け、展示物の説明に英語表記も徹底したが、今は新型コロナ対策で県外客の入館も断らざるを得ない状況になっている。

旧博物館は年間約1万6千人の来館者があった。新型コロナウイルスの流行前で今年度は5万人の来館を目標にした。佐野館長は「来年、同じスケジュールで聖火リレーが到着してくれれば、世界に向けて火焔型土器を発信できるのでは」と期待し、来館を待っている。

「雪と信濃川」
「雪と信濃川」
約200年前に中条地内に建築された民家を移築
約200年前に中条地内に建築された民家を移築

休館日は毎週月曜で、月曜が祝・休日の場合は翌平日。それと年末年始の12月28日から1月3日まで。開館は午前9時から午後5時まで、入館は4時半まで。ただし8月30日までの土、日曜と祝日は午前9時から午後6時までに延長し、入館は5時半まで。入館料は500円、中学生以下は無料。問い合わせは十日町市博物館(電話:025-757-5531)へ。

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