新潟県内一の出荷量を誇るキャベツの産地、信濃川右岸河川敷の畑での栽培を中心とした新潟県三条市の石上地区と栗林地区で、春キャベツの出荷が最盛期を迎えている。ことしは記録的な収量なのに値段は高く、生産者にとってはふたつの意味で当たり年だ。
石上、栗林地区のことしの春キャベツの作付面積は、894アール。高齢化もあってことしは2人が春キャベツの栽培をやめたので、昨年の1011アールより100アール以上も減ったのに、収量は昨年を上回る見通しだ。
5月29日に出荷が始まった。生産者が収穫した春キャベツはJA石上倉庫へ持ち込まれ、県内5つの卸売市場を通じて県内のスーパーで販売するほか、三条市内の小学校の給食にも使われる。
品種は「青春2号」、追いかけるように「青春」、少し間をおいて「初恋」が続いている。一度に収穫期を迎えないように1月から10日ほど間隔をおいて段階的に種をまいているが、6月14日に降ったまとまった雨が降ったおかげで生育が進んで収穫期がそろってしまい、収穫に追われている。
春は適度に雨が降ってくれて生育が進んだ。10キロ箱に8玉ほ入るLサイズと6玉の2Lサイズがある。2Lは大き過ぎて扱いにくく、家庭ではLが好まれる。例年、7対3、6対4くらいの割合でLの方が多いのに、ことしはほぼ半々と大玉傾向で売りにくくはなっている。
例年、ピーク時は1日約2,500箱が出荷されるが、ここ数日は約3,000箱で推移している。出荷が集中しているだけでなく、今シーズンの出荷量でも例年より多い見通しだ。これまで3万8千箱を出荷しており、7月上旬に出荷が終わるまで昨年の4万8千箱を上回る記録的な夢の5万箱の出荷を目指す。
豊作で供給が増えれば値段が下がるのが常だが、ことしは卸価格が1,000円から1,200円。昨年の500円から700円のほぼ倍の高値で取り引きされている。巣ごもり需要でスーパーが売り上げを伸ばし、家庭でのキャベツの消費が高まっているのに加え、他産地のキャベツの出荷が減っている時期に当たって値段を押し上げているようで、豊作だわ、値段は高いわで、うれしい収穫期を迎えている。
春キャベツを生産するJAにいがた南蒲・三条市園芸振興協議会(田村正雄会長・会員20人)の春キャベツ部会長の古関裕治さん(64)は、6月19日朝も90アールあるキャベツ畑で夫婦で春キャベツの収穫に忙しかった。
野菜収穫包丁でキャベツを切り取っては、箱に詰めていく。春キャベツは水分を多く含むので柔らかい反面、傷みやすい。生産しているキャベツについて古関さんは「自慢するほどのものでもないけど、農薬にも気をつかっているので安心して食べてほしい。できれば高値で」と笑顔だった。