7月4日から16日まで長岡市・栃尾文化センター(新潟県長岡市中央公園)で「菓子木型展」が開かれ、地元の和菓子店が所有する粉菓子や生菓子を作るための木型108点が展示されている。
展示されているのは、有限会社おさべ菓子店(長部直栄社長・長岡市栃尾新町)所有の木型。引き物に使われる式菓子として使われることが多いタイやコイ、松竹梅、鶴亀などをかたどった菓子を木型に材料を入れて成型する。
栃尾名物のタイを真ん丸くデザインした「丸鯛(まるだい)」や、おさべ菓子店オリジナルの栃尾てまりをデザインした木型、さらに一匹丸ごとの魚ではなく頭と切り身の部分だけのコイの木型もおもしろい。
木型の木の茶色ばかりの展示では寂しいので、それぞれの木型で作った菓子も展示。今ではほとんどの木型は使われることがなく片付けたままになっている。どの色を使っていたか、すべて覚えているわけではないが、これまでの経験から推測して着色した。コロナ禍で仕事が減ったので、展示の準備に時間をかけることができた。
おさべ菓子店で撮影した丸鯛の製造工程を撮影した19枚の写真パネルも展示しているほか、となりの栃尾市民会館食堂でおさべ菓子店の丸鯛などを販売しているので、見学した菓子を買ったり味わったりでき、茶のふるまいもある。
昨年5月に栃尾文化センターで駄菓子展が開かれたときに、おかべ菓子店から菓子木型の展示を提案。木型の展示はしなかったが、それがきっかけで、あらためて菓子木型店を開くことになった。
おさべ菓子店は社長の長部直栄さん(84)と娘で取締役の恵子さん(58)で切り盛りする。100年以上、続く本家の菓子店から80年前にのれん分けし、恵子さんで3代目。栃尾のもち米で製造する慶事用粉菓子は、長岡市のふるさと納税の返礼品にもなっている。
開幕前日は夜遅くまで職員と一緒に展示作業を行った恵子さん。「踊りたくなるくらい楽しかった。菓子もそうですが、展示作業というものづくりも、自分の思いが重なって楽しい。栃尾の観光やまちの活性化にもつながってくれたら」と願っている。展示に関する問い合わせは栃尾文化センター(電話:0258-52-2020)へ。