おばさんが入居していた特別養護老人ホームで働く人たちの新型コロナウイルス感染防止対策の取り組みをねぎらおうと割烹(かっぽう)「清(きよ)みず 土筆(つくし)」(新潟県三条市月岡2)は、「おおじまの里」(鈴木泰子園長・三条市大島)の職員に食べてもらおうと3日間に分けて無料で弁当を届けている。
交代勤務のため職員全員に1個ずつ、62個の弁当が行き渡るように3日間に届けている。初日17日は店主の阿部清さん(62)が夫婦で配達に訪れ、1回目分25個を届けた。
弁当は魚やエビのフライにサケの切り身や卵焼き、野菜にウインナーにウナギ切り身も入った豪華版。おまけにデザートのバナナまで用意した。
「おおじまの里」は80床で2013年に開設され、同居していた阿部さんのおばさんは開設当初から入所していた。阿部さんは高校剣道部で鈴木園長の2つ上の先輩だった縁もあり、昨年、おばさんが亡くなってからもメロンを届けるなど、施設とのつながりをもち続けた。
入所者に弁当を食べてもらおうと思ったが、食べられる食事の内容が入所者によってまちまちなので、職員に食べてもらうことに。阿部さんは3月にも感染拡大で休校になり、子どもの昼食をつくらなければならなくなった親の力になろうと弁当を無償提供している。
「前から医療従事者に何かしたいと思っていた」と阿部さん。「職員の皆さんも難儀してるんじゃないかと思う。これから先もいつ終わるともわからず、これからも一生懸命、頑張ってほしい」と願った。鈴木園長は「阿部さんの気持ちがとにかくありがたい」と先輩の善意に恐縮していた。