インフラツーリズムも期待される「にとこみえ〜る館」がフルオープン (2020.7.24)

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2032年度の完工を目指す大河津分水路改修事業の情報発信の拠点「にとこみえ〜る館」(長岡市野積)が7月22日、フルオープンした。国内で五本の指に入るほど大きな河川事業の工事現場を目の当たりにできる「インフラツーリズム」の観光資源としての役割も期待される。

「にとこみえ〜る館」フルオープンイベントの除幕式
「にとこみえ〜る館」フルオープンイベントの除幕式

大河津分水路は、増水した信濃川の水をショートカットして日本海へ流下させるもので、1922年に完成した。しかし昨年10月の台風19号で破堤の危険が迫る観測史上最高水位を観測したことからもわかるように、流下量が不足しているため、2015年度から改修事業を開始。山地部を掘削して放水路の拡幅、川底の浸食を防ぐ「第二床固(とこがため)」の改築、野積橋の河口側への架け替えなどが行われている。

VRやARも駆使した館内
VRやARも駆使した館内

その事業のPR施設として国土交通省信濃川河川事務所が、大河津分水路右岸側の工事現場前に2018年2月、「二床工事みえ〜る館」をプレオープン。さらに道路をはさんだ向かいに新たに「にとこみえ〜る館」を建設し、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため一部、見学を制限してことし6月3日に「にとこみえ〜る館」をソフトオープン。そして大河津分水建設のきっかけになった1896年に燕市分水地区の横田地内で信濃川が破堤した大水害「横田切れ」が発生した日の7月22日に合わせてフルオープンした。

現場チャレンジのゴールの休憩所から見る工事現場
現場チャレンジのゴールの休憩所から見る工事現場

施設は鉄骨造平屋建て130平方メートル。山地部掘削、新第二床固、魚道、野積橋架替をパネルやディスプレーで学ぶことができ、採取した土質サンプルの展示、工事現場をタブレットを使って角度を変えてみたり付加情報を見たりできるVRやARの技術を使った展示、大河津分水路を泳いでいるかのように撮影できるスポット、昨年10月の増水や工事を紹介するビデオ上映もある。施設の案内役のコンシェルジュ3人のうち2人が交代で常駐する。

屋上に上がって現場を見ることができるが、建物裏山を登ってより高いポジションから工事現場を見下ろせる現場チャレンジコースもこの日から利用を開始した。ほかにも改修事業の公式キャラクターの顔出しパネルなどもあり、おとなも子どもも楽しめる施設になっている。

顔出しパネルで顔を出す国交省信濃川河川事務所の室永所長
顔出しパネルで顔を出す国交省信濃川河川事務所の室永所長

室永武司所長は「地元に要望いただいた防災教育の拠点、地域の観光の拠点という多面的な施設として整備を進めていきたい」と話した。群馬の八ッ場ダムなど全国で工事現場が観光資源になるインフラツーリズムが広がっており、寺泊の魚市場、弥彦神社、燕市産業史料館など「周辺の観光施設とともに少しでもこの地域の観光客が来れるよな支援もできれば」、「見て楽しい、感じて楽しい観光資源になれば」と期待した。

火曜から日曜の午前9時から午後4時まで開館、入館無料。現場チャレンジコースの利用はコンシェルジュに申し出る。

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