信濃川の下流域を大洪水から守る「越後平野の守り神」、大河津分水路をいわばご神体とする「大河津神社」が大学生らの手作りで生まれた。2022年の大河津分水路100周年に向け、大河津分水路建設の引き金になった124年前に堤防決壊「横田切れ」が決壊した7月22日、除幕式が行われた。
燕市さくら公園ビジターハウス内に建立した。ロール紙の芯を使って高さ1.5メートルほどの赤い鳥居を作り、扁額(へんがく)には「大河津神社」。鳥居の下に神棚に入れる宮形を置く。宮形の中央には、通水石、左に大河津可動堰(せき)、右に大河津洗堰の堰カードを安置する。
通水石は、2032年度の完工を目指して行われている大河津分水路改修事業に伴い、これまで川底が削れないように守っていたコンクリートを砕いたものだ。
鳥居のとなりには1回100円のガチャガチャを設置した。カプセルの中身も麻袋に入った通水石。苦難の連続だった大河津分水路建設も、あきらめなければ夢はかなう、願いは通じるという意味を込めたお守りだ。
製作したのは、加茂市・新潟経営大学の中島純学長のゼミ生16人と、燕市の若者会議「れっつばめ」、大河津分水を愛する市民団体「ラブリバーネット」。社寺彫刻も手がける地元分水地区の沖野彫刻も手を貸した。
あわせて信濃川大河津資料館から出発して歩き、5つのミッションをクリアすると坂田屋本店で氷菓がもらえる参加無料の「ミッションウォーキング」を開催。いずれも9月30日まで行われている。
除幕式には経営大生らが出席し、ゼミ長の4年長谷部光さん(41)は「大河津分水は100年間、さまざまな試練を乗り越えてまちを守ってきた。大河津分水の新たな魅力を知ってほしい」と企画の意図を話し、中島学長は「地域の力と学生の力がひとつになって実現できたイベントになった」と成果を喜び、「新たなパワースポットとして利用を」と発信力にも期待した。