戦後のふるさとの風土や人々を写真で記録し続けた燕市の捧武(ささげ たけし)さん(1933-2010)の没後10周年を記念した写真展が7月23日、燕市産業史料館で始まった。アマチュア写真家の最高峰とされる第2回林忠彦賞を受賞した1992年刊行の写真集『田園の微笑』に収録した作品のなかからセレクトした18点を展示している。
展示している作品は生前に捧さんが燕市産業史料館に寄付したもの。今から約60年前、昭和30年代のはざ木のある田園風景、そこで遊ぶ子どもたち、茶の間から顔が見えるウシ、相撲大会、夜のナシ売り、瞽女(ごぜ)とネコ、花見で踊る安来節。捧さんが切り取った記録は、時がたつほど価値を増している。
初日23日に訪れた来場者は、懐かしく写真を鑑賞し、これ、おばさんだったよね?」などと写真に写る知り合いの顔を見つける人も多く、それぞれの昭和の記憶を作品に重ねていた。
ほかにも昭和30年ごろ購入した捧さんの愛機、二眼レフカメラ「ローライコード」と名機「ライカ M4」、捧さんが師と仰いだ写真家、秋山庄太郎(1920-2003)が原節子と丸山明宏(三輪明宏)を撮影した写真も展示。ことしは秋山庄太郎の生誕100年の年にも当たっている。
前期展は8月16日まで。その後、8月21日から9月13日まで後期展を開き、工場やきせるをテーマにした作品を展示する。