新潟県見附市の公式FaceBookページの見附市公式レポーターが投稿した漫画付きの記事「安心して感染したい」が共感を呼び、全国に拡散されて注目を集めている。
見附市公式レポーターの村上徹さんが7月15日に投稿した。漫画では4人の市民がそれぞれ「狭い町で噂になるから一人目の感染者にだけは絶対になりたくないわ〜」、「感染したって分かったらこの町ん中ですぐに村八分にされんぞ〜」、「感染なんかしたら『あの人!』って、後ろ指さされちゃう もう町中どこでも」、「周りから陰口叩かれてこの町に住めなくなる」と話す。
「誰もが感染する可能性がある中で、こんな声を聞くと“噂するのも村八分にするのも 後ろ指さすのも陰口を叩くのもウイルスじゃない。この、『ひと』なんだよなぁ”と思う。見附人として互いを思い合う温かい『ひと』でありたいと願う」と締めくくる。
記事では「物騒なタイトル」と認めながら「もし新型コロナウィルスに感染しても、安心して治療に専念できる見附であって欲しいということ」と真意を説明する。漫画の4人のせりふに理解を示しながら「仮に見附市で最初の感染者になっても、市民が口を揃えて『一日でも早く完治するといいね!』と心強い励ましを送ってくれるんであれば、安心出来ますよね」とし「明日、自分が感染していないと自信を持って言える人は一人もいないからこそ互いを想い合う空気をまずは自分から創って行きたいと思います」と書く。この記事は7月27日には1,300件以上もシェアされ、70件を超すコメントがあり、共感が寄せられている。
7月26日、初めて新型コロナウイルスの感染が確認された三条市の国定勇人市長が行った記者会見も、これと同じ思いに基づいていた。国定市長は感染が確認された30代男性を「勇気をもってPCR検査を受けた」と感謝した。感染がわかれば濃厚接触者の感染確認やクラスターの発生を防ぐなど感染防止対策を講じることができる。感染拡大を防ぐ行為に対し、市民の生命と財産を守ることが第一義である市長として感謝するのは当然と言えば当然だ。同時に感染者に対して誹謗、中傷、いじめをしないよう繰り返し求めた。
先に感染が確認された加茂市、燕市の感染者に対する誹謗中傷はすさまじかった。たちの悪い悪意のないデマも広がった。感染した人はどちらかと言えば被害者なのに、世間からは袋だたきだ。新型コロナウイルスより「人」の方がはるかに怖いと思った。これではとてもじゃないが、怖くてPCR検査を受けられない。
今回の男性が個人より社会の利益を優先してPCR検査を受けたことには市長に限らず感謝しかない。それにもかかわらず、ネットでは男性の行動や会社の対応を批判する声が出ている。批判すればするほど、新型コロナウイルスと思われる症状があってもPCR検査を受けることを敬遠し、ひいては批判している自身の感染リスクも高めるという結果になることがわからないのだろうか。どういう結果を期待して批判しているのだろう。
国定市長が記者会見で発したメッセージについては、「市長の発言はすばらしい」、「(感染者は)市長のこの言葉には物凄く救われるんじゃないか」、「このような発言をしてくれる市長さんは信頼を集めますよね」などと賛同する声が広がっているのは幸いだ。それぞれが「安心して感染したい」環境に貢献しているか常に頭の隅にでも置いておきたい。