8月16日午前、三条市下田地区で5日前に山に帰したと思われるクマが再び現れ、付近を逃げ回った末、射殺して駆除した。けが人はなかった。
10時22分ごろ鹿熊川を上流から下流へ流れてきたのを付近の住民が見つけて110番通報した。クマは国道290号の新曲谷橋から200mほど鹿熊川上流に架かる人道橋たもとで左岸側の護岸されたブロックをよじ登って国道290号方向へ向かい、国道を渡って先の山へ向かって行った。
三条市職員や三条署員10人ほどが手分けして捜索し、今度は近くの下田野球場で市職員がクマを発見した。クマを二本足で立ち上がって市職員を威嚇(いかく)。背後から警察官に突進してきたクマを間一髪でかわしたり、機転をきかせてクラクションを鳴らしたりして対抗した。
クマは再び鹿熊川に転落し、再び、左岸側へよじ登ろうとし始めた。左岸側には住宅があり、住民に危害を加える恐れがあることから11時40分ごろ地元猟友会が射殺した。
クマは体長約70cm。現場近くで11日にも水路に落ちて出られなくなったクマを捕獲し、山へ帰したが、地元の人たちによると射殺したのはそのクマと言う。水路に落ちたクマは右前足を傷めており、射殺したクマも右前足を傷めているようだった。
また、地元の人たちは、射殺したクマと先に発見された鹿熊川を流れてきたクマは別の個体と話していた。射殺したクマは子グマと見られるのに対し、発見されたクマの方が大きかったと言い、2頭は親子と見ていた。
11日に水路に落ちていたクマは、這い上がれずに大きな声で鳴いていたため、その声に気付いた住民が発見した。体はやせ細っていたため、親が育児放棄したのではと話す人もいる。曲谷の自治会長、五十嵐正吉さん(68)は、「クマが出るのは珍しいことじゃない」が、「ことしのお盆は楽じゃない」と話した。
地元の八坂神社の鳥居を新しくするため、撤去したばかり。「神社や墓をいじるとろくなことがねーと言うけど、本当にそうなった」、「盆に殺生して、なんかあるんじゃ」、「2度あることは3度ある。絶対、もう1回、クマが出る」と地元の人は口々に不吉な兆しを心配していた。