9月2日明け方から新潟県燕市分水地区でイノシシが現れ、半日かがりの大捕物の末、正午過ぎに駆除した。
午前6時半ごろから新潟県警燕署に燕市分水地区で体長約1.5メートルのイノシシの出没情報が数多く寄せられ、燕署と燕市は捕獲に向けて対応した。
イノシシは体長約1.5メートル。牙が見えなかったことからメスと思われる大きな個体だ。上諏訪の永田精機へ逃げ込み、工場内へ追い込んだ。捕獲は時間の問題と思われたが、イノシシは2階の窓ガラスを割って外へ飛び出し、足などを傷めることもなく、逃走した。
その後、南西へ直線で約800メートル離れた大河津分水路右岸堤防手前の田んぼで刈り残された狭い稲穂の中に身を隠した。時々、不自然に揺れる稲穂がイノシシの存在を示していた。
付近に住宅があり、銃器を使えないため、大河津分水路側にある幅約3.6メートルの用水路に追い込み、住宅から離れた場所で地元猟友会燕支部に駆除してもらおうという作戦だ。
イノシシの周囲を棒を持った警察官やネットを持った市職員が囲んで猟友会をじりじりしながら待ったが、到着を待たずに10時59分、イノシシが飛び出し、ねらい通り用水路に追い込んだ。
用水路の水は浅く、用水路の中に入ってイノシシの前後で挟み撃ちにした。イノシシものすごい勢いで行ったり来たりと走った。用水路は深さ約2メートルもあるのに、ジャンプして上に飛び上がろうとして上から制止する場面もあり、2階から飛び降りたあととは思えない身体能力だった。
挟み撃ちしたにもかかわらず、突進してくるイノシシに何度も人のバリケードを破られ、どん下流方向へ逃走した。しかし太田の集落まで行くとイノシシが用水路から上がりやすい場所があるということで、どうしてもその手前で阻止しなければイノシシの逃走を許し、ここまでの苦労が元のもくあみになってします。
最後の手とばかりに用水路に職員5人が横に並び、体を張って壁になり、死守に成功。潜んでいた田んぼから約2.3kmのあたりでようやく動きが鈍くなり、そこへ猟友会が到着。午後0時12分、パン!と猟銃の音が1発、響き、ようやくイノシシを駆除した。
市の担当者は、とりあえず人に被害がなかったことに胸をなで下ろした。燕市は昨年10月12日にも野本地内でイノシシを駆除している。近年、燕市の分水地区を中心にイノシシが出没しており、分水地区が接する長岡市方面から北上しているものと思われ、イノシシの出没は日常になっていきそうだ。