燕市教育委員会の遠藤浩教育長は9月2日、記者会見し、8月21日に開かれた定例教育委員会で戦争がコロナ禍を短時間で解消するなどと発言したことを謝罪し、9月定例会終了ごろの辞任を明らかにし、「児童生徒保護者、教育関係者、本当に不愉快な思い、大きな不安を与えたことを誠に申し訳ない」と謝罪した。会見直後に鈴木力市長が発表した遠藤教育長辞任に関するコメントで、9月議会最終日の24日の辞任を承認したことを明らかにした。
遠藤教育長は、定例教育委員会で教育長報告を行った。その基した原稿をホームページで公開し、米中戦争やクリミア紛争などが起これば罪のない人間の命との交換で経済が回復するとなどと書いた。
定例教育委員会では、この部分を結びで話したが、そもそも原稿をそのまま読んだわけではなく、第二次大戦で戦死した学徒兵の遺書を集めた『きけ わだつみのこえ』も紹介。遠藤教育長は「現代のコロナ禍において社会全体に閉塞感のようなものがあり、それを打開する方法として戦争を始めてしまうのではないかという人間の愚かさを憂えて表現したものであり、決して戦争を期待したり、肯定したりするものではない」と真意を話した。
文書自体は「読み手には真意が伝わらない表現であり、不適切な内容だった」が、定例教育委員会では「他の教育委員には、戦争に置き換えてしまうことを危惧(きぐ)していることや、戦争が起きてはいけないということは伝わったと思っている」との見方を示した。
とはいえ「教育者の表現としては、真意が別ところにあったにせよ、不適切な内容であったことは変わらない」とし、「引き続き教育長の職にあるべきではないかと考え、鈴木市長に教育長の職を辞したいと本日の午前中に伝えた」述べた。
辞職の日は関係者に説明したりわびたりする必要もあり、その時間をとるため、9月議会終了ごろに辞職させてほしいと鈴木市長に話した。
記者会見直後に鈴木市長が発表したコメントでは、遠藤教育長の文書の内容は「教育行政のトップとして著しく適切性に欠けるものと認識せざるを得ず、事の重大性に鑑みれば、辞任はやむなしと考える」とし、9月議会最終日の24日の辞任を承認したとある。コメント全文は次の通り。
教育長の辞任について
本日、遠藤浩教育長から辞任したい旨の申し出がありました。
当面は関係各位に対し、このたびの件について誠心誠意、説明とお詫びを尽くすとともに、目の前に迫っている9月議会での職責を果たした上で、辞任をしたいとのことです。
任期途中ではありますが、このたび教育長が定例教育委員会で配布した文書の内容が、教育行政のトップとして著しく適切性に欠けるものと認識せざるを得ず、事の重大性に鑑みれば、辞任はやむなしと考えます。
つきましては、9月議会最終日(9月24日)をもって辞任することを承認することといたします。
今後は、教育行政に空白が生じないよう後任教育長の人選を急ぐとともに、私自身の任命責任についても9月議会でお諮りしたいと考えています。
あらためて私からも、保護者、児童生徒、教育関係者、議員並びに市民の皆様にご不安とご心配をおかけしていることをお詫び申し上げますとともに、燕市教育行政の信頼回復に取り組んでまいります。
令和2年9月2日
燕市長 鈴木力