燕市教育委員会の遠藤浩教育長が定例教育委員会の配布文書でコロナ禍の解消は戦争が発生することなどをあげた問題で遠藤教育長が2日に辞任の意向を表明したのに伴って4日、臨時教育委員会が開かれ、遠藤教育長の辞職に同意するとともに会議録を遠藤教育長が発言した内容に盛り込んであらためてホームページ上で公開することを決めた。
教育委員は5人全員が出席。冒頭、遠藤教育長は「私の思いは別なものであったにせよ、当該部分の表現が適切を失くものであったことは否めず、今後の燕市の教育行政への影響を考えあわせるなかで教育長の職を辞することとした」と説明した。
辞職の同意についての議案で斎藤純郎教育委員は、「当日の定例教育委員会では毎年、平和教育の一環として実施していた原爆投下の悲劇を学び、平和の大切さを学ぶ広島への中学生の派遣事業、これが新型コロナウイルスの関係で中止せざるを得なかったが、教育長は適切に代替案を実施していたと聞いている。平和教育に力を注いでいると感じた」と遠藤教育長を評価した。
一方で、「ホームページで公開された会議録では、口頭で戦争を否定した個所が表れていなかった。教育長としては真意が伝わらなかったということで、市民をはじめ保護者、児童生徒、教職員、多くの皆さんに心配、不安をかけたことで辞任の申し出をされたと思う。辞任の承認はやむなしと思う」と同意した。
同じような過ちを繰り返さないよう、報告資料の作成や会議録の調整、作成には教育長はもちろん、教育委員も含めて発言者全員への承認を得ること、ホームページでの公開にはルールに従って必ず上司が確実にチェックすることを求めた。
小林恵子委員は「今回8月21日の会議録に関しては私が署名をすることになっていたが、どういうわけか私がその会議録に目を通して署名をする前にホームページにアップされていた」と述べた。会議録は定例記者会見のたびに署名する教育委員を指名している。「それがまず日ごろと違う動きをされていたかなという感じがする。その段階で教育長が話した要旨がきちんと伝わるように訂正できたのではないかと思う」と振り返った。
さらに「いまだかつて教育長の話の内容がホームページ上に記されていない。紙面で残っているものの要旨だけで、それに付随して教育長が平和についてどういう教育をされてきたのかとか、どういう思いでるかとか、そういうことについてまったく発言された内容が盛り込まれていないのが非常に残念。こういう事態にはなったが、もしできることならホームページ上の記載をもう一度、会議録を添削してきちんと発言した内容を盛り込んでアップロードしていただけないか」と話した。
小林委員の会議録の変更の提案について事務局は、燕市教育委員会規則の第19条に「会議録に記載し、または記録した事項に関して委員中に異議があるときは、教育長はこれを会議に諮って決定する」とあるとして動議として諮り、同意を得た。
閉会後、小林委員の署名を受けないまま会議録を配布、公開した理由を事務局にただすと、「瑕疵(かし)があり、手続きを失念していた」と答えた。また、要旨を公開した会議録をさらに詳しい発言内容に変更する手法については、すでに録音データは消去されているが、録音から文字起こしした文書を基に再編集してあらためて公開すると話した。