日本天文学会は9月7日、1887年(明治20)に新潟県三条市・大崎山で日本初の近代的日食観測が行われた「明治20年皆既日食観測地および観測日食碑」を第2回日本天文遺産に認定したことを公表したが、この歴史的功績の唯一の関連商品と思われる地元の創作菓子「コロナと三条」が注目を集めそうだ。
文政創業の老舗菓子店「つるがや」(柄沢幸一社長・三条市本町4)が販売する菓子で35年以上前に「コロナが見えた街」として発売。数年後により親しみやすくと「コロナと三条」と改名し、今も定番の人気商品で三条土産としても喜ばれる。
小麦粉をいっさい使わず、渋皮付きのクリを月ですっぽり隠れた太陽に見立てる。その周りを裏ごししたクリと粉にしたアーモンドプードルとバターで作った菓子で包み太陽から放射条に広がるコロナに見立て、皆既日食を表現する。パッケージにも大崎山と白い円で日食を表現している。
発売した当時、社長の柄沢幸一さん(64)は三条青年会議所に所属した。仕事を生かして菓子で三条を広く知ってもらうことはできないかと調べて皆既日食観測に行き着き、開発、商品化した。「この菓子には本当に自信がある」と柄沢さん自慢の菓子に仕上がった。
ことしは新型コロナウイルスの感染拡大で「コロナ」の名前が敬遠され、売り上げが落ちることもあった。しかし長くは続かず、逆にこれを食べてコロナ禍に負けず頑張ろうと買い求める人もあり、今では例年並みの売り上げに戻った。
そこへ思いがけない日本天文遺産認定の朗報に「本当に驚きました」と柄沢さん。三条商工会議所の会報9月号のコラム「石垣ずいそう」の寄稿を依頼され、たまたまコロナ禍にかけて「コロナと三条」について書いたばかりで、間もなく発行される。
新型コロナウイルスと皆既日食観測とダブルで注目を集めることなった。柄沢さんは「両方、かぶるってすごいこと」と言うものの、販売量の拡大につながることにはあまり期待していない。
「たくさん菓子を作る量にも限りがあるし、急に注文が増えて今までのお客さんの手に届かなくなっても申し訳ない。三条のまちへ来て、うちの店に寄ってくれれば」と、三条へ足を運んでくれる人が増えることを願っている。問い合わせは「つるがや」(電話:0256-33-0314)へ。