この秋、新型コロナウイルスの感染防止のため修学旅行先として都市部が敬遠されている影響で、多くの学校の修学旅行に選ばれている新潟県燕市は、16日から修学旅行で来燕する児童生徒に満足して帰ってもらおうと修学旅行の児童生徒に記念品としてスプーンをプレゼントし、燕市産業史料館へ来館した人に配布する「学習ハンドブック」を作成した。
プレゼントするスプーンは、燕市のカトラリーメーカー株式会社トーダイが製造する「カレーチャーハンすぷーん」(定価280円)。スプーンの皿の先端、上下の角を面取りして薄くすることで、皿に残った米粒をすくいようにしたアイデア商品だ。
絵の部分にはレーザマーキングで「燕市産業史料館」の文字とロゴを刻印し、ビニールの袋に「修学旅行来燕記念」などとあるシールを張った。燕市へ修学旅行に来た児童生徒全員に1人1本ずつプレゼントする。
学習ハンドブックはA4判の紙に印刷したものを2つ折にしてA5判見開き4ページになる。子ども向けに燕市産業史料館の紹介をはじめ、燕の金属産業について、燕の産業の移り変わり、スプーンの作り方をイラストや写真をたくさん使って視覚的にわかりやすく、漢字にはすべてルビを振った。燕市内の企業だけを訪れる学校もあり、この学習ハンドブックは燕市産業史料館を見学に訪れる学校の児童生徒に配布する。
9月15日までに燕市が把握している燕市へ修学旅行に訪れる学校は、16日に燕市市内の製造業者を見学する長野県長野市の小学校を皮切りに県内が23件の712人、県外が5件の227人、合わせて28件、939人に児童生徒が来燕する。学校別では小学校14件(県内11・県外3)、中学校11件(県内9・県外2)、高校3(県内3・県外0)。
2011年に東日本大震災で修学旅行先の福島県などの代わりに燕市へ修学旅行に訪れた学校はあったが、これだけまとまった数の修学旅行が燕市を訪れるのは前代未聞だ。
近年、燕市は産業観光を振興しようと国内外の旅行代理店を対象としたモニターツアーなどに取り組んできた。鈴木力燕市長は先の定例記者会見で「それがこの時期になってこんな形で効果として現れてきたんじゃないか受け止めている。まさか修学旅行は想定していなかったが、こんな需要があったということは本当に驚きとともに喜んでいる」と話した。
記念品や学習ハンドブックの配布については「せっかく来ていただくんであれば児童生徒、先生に燕に来てよかった、企業見学に来てよかったと満足して帰っていただくことはすごく大切」と趣旨を話し、燕市のアピールや感染終息後の燕市への修学旅行のリピートにも期待した。