物流業のマルソー株式会社(渡辺雅之社長・本社:新潟県三条市月岡字綾ノ前)を核とするマルソーグループは、9月16日から全社員を対象に新型コロナウイルス抗体検査を行っており、グループ16社の社員とパート約1,150人のうち希望者の抗体検査を今週中にほぼ完了する計画だ。
使用する抗体検査キットはEUやイギリスで製品認証取得済みのドイツ製。身近なところでは妊娠検査薬に似ていて、採血して検査キットに血を垂らして希釈し、数分で結果がわかる。
結果は褐色の線の有無で抗体の有無がわかる。感染後期の段階で生産されるタンパク質「IgG抗体」と、感染初期の段階で生産される「IgM抗体」の2種類の抗体の有無がわかる。
「IgG抗体」だけが検出されたら新型コロナウイルスに感染してすでに治っている可能性が高い。「IgM抗体」だけ検出されたら現在、感染している可能性が高いため、医療機関によるPCR検査を受けるよう勧める。プライバシーの問題もあり検査結果は所属長だけが把握する。
本来、自分で検査するのが前提と思われるキットだが、初めて使うこともあり、マルソーグループでは原則、看護師が立ち会い、使用方法をアドバイスする。採血のため指の先などに細い針を刺すときにちくっとするていどで、検査は簡単に終わる。
検査を受けるかどうかはあくまで本人の希望によるが、初日16日午前の検査対象者のうち希望しなかったのは血を見ると具合が悪くなるという1人だけ。ほとんどは自己負担なしで抗体検査を受けられることを歓迎している。
本社となりの企業主導型事業所内保育施設「月岡わくわくちびっこ園」では、午後から8人の職員が順番に抗体検査を受けた。恐る恐る針を刺したり、慎重に血液を検査キットに垂らしたりしたが、5分とかからずに検査を終わり、「意外と簡単」、「こんなんでわかるんですね」と拍子抜けするくらい手軽な検査だった。
マルソーグループでは、取引先の安心と安全の提供と社員の不安解消などを目的にグループ全員の抗体検査実施を計画。しかし検査キットの入手が困難で、いろいろなところからかき集めて全員分を確保して実施に至った。全社員規模で抗体検査を実施するのは県内では珍しい。
春先から出社したら毎朝、体温を計測して感染の有無に気を配ってきた。しかし感染の不安はぬぐえず「せめてこうして安全を担保できれば」と抗体検査に踏み切った。
ただ抗体検査の結果も百パーセント確実とは言えない。今回は感染していなくても、後で感染するかもしれない。万全を期すなら定期的な抗体検査を実施するに越したことはない。今回の結果を受けて今後の実施を検討するが、不特定多数の人と接する職場は、できれば1、2カ月のサイクルで実施したいと考えている。