ことし1月に新潟市民芸術文化会館「りゅーとぴあ」で行われた60歳以上限定の演劇ワークショップ発表公演『〜歌って踊る〜瞼(まぶた)の母』に登場した「チンドン隊」を母体に、ことし4月に生まれた集団「華やぎ ちんどん隊」。9月20日に燕市の吉田ふれあい広場で開かれた「おにフェス」に出演し、これが旗揚げ公演となった。
新潟市を活動拠点にメンバーは新潟市のほか燕市、新発田市に住む40歳から60歳までの10人。20日の「おにフェス」には、そのうち女性ばかり7人が参加して3回公演にした。
ど派手な衣装にイベントにあわせて鬼の角も着けて、太鼓やサックス、鍵盤ハーモニカなどで演奏。数え歌や「おにのパンツ」を歌って踊り、会場をにぎやかに盛り上げた。
演奏に続いて「おにフェス」のベースになっている燕市分水地区で生まれたと伝わる鬼「酒呑童子(しゅてんどうじ)」の物語をコミカルな寸劇に仕立てて披露し、見物客を楽しませた。出演時間以外でも会場の広場を練り歩いてサービスした。
「りゅーとぴあ」主催のワークショップは、60歳以上の参加者を募って行われた。発表公演は「チンドン隊」がサポートすることになった。2019年5月にチンドン隊が集合した。芝居経験のある人で構成し、芝居のけいこをしながら、芝居の宣伝活動も担うようになり、町やイベント会場、テレビでチンドンしてPRした。
舞台上でストーリーテラーやプロンプターとなり、ときに60歳以上より目立つ黒子となって舞台を進行した。芝居が終わるといったんチンドン隊は解散したが、解散と同時に「華やぎ ちんどん隊」として生まれ変わった。芝居とは離れて歌やパフォーマンスを取り入れてチンドン活動し、華やぎを届ける集団となった。
「エープリルフール」にもかけて4月1日にホームページデビューしたが、折しも新型コロナウイルスが感染拡大中。ことごとくイベントなどが中止になり、活動の場がなくなった。
「華やぎ ちんどん隊」のマネジャーは創作人形作家で芝居や舞台の仮面、小道具、美術などの制作を手掛けるロマネスク工房(新潟市東区)主宰の後藤信子さん。燕市で毎年行われているイベント「酒呑童子行列」で、高校生とのワークショップも通じて面や小道具の制作でかかわっている。
「燕市は熱い。やってやろうって人が多くていい」と後藤さん。今回は酒呑童子にあわせた寸劇を用意したが、「お客さんが喜んでもらえるように、趣旨にあわせて内容を変えていく」。「大道芸も身につけてどこでも喜んでもらえるグループにしていきたい」と、発表の場所を探している。
メンバーのうち燕市の上田佳澄さん(56)は、神奈川県出身で芝居経験があり、新潟市民ミュージカルに参加するなど活動を続けている。「華やぎ ちんどん隊」については、「同じような熱意の人が集まっているから、自分がのびのびと堂々としていられる場所」で「もうひとりの自分が出てくる」と新しい居場所を楽しんでいる。