9月27日(日)午後0時半から10時までつきのよると上映会・オンラインフェスティバル」が行われ、新潟市南区月潟の旧料亭「きむら屋」から映画上映、演劇、トークなどがオンライン配信される。
オープニングでイベントの説明からスタートし、1時から「かぼちゃ電車の走る姿を観ながら」。旧月潟駅で保存される新潟交通の電車「かぼちゃ電車」が廃線前の白山−燕駅間を走行中の映像を鑑賞しながら、かぼちゃ電車保存会の平田翼会長の実況を聞く。
3時から「映像でめぐる、旧料亭と旧劇場探訪」。旧月潟村のここでしか見ることのできない技法や歴史の詰まったおもしろ建物の旧料亭と旧劇場を探訪する。
3時半から「耳よりつきがたり」。美術教育を専攻した神戸育ちの浅井優希さんと淡路島の北淡育ちの吉岡琴子さんによるアートユニット「WAKO」が変動する時代を踏まえた映像作品を公開する。
4時から「折って魅せる〜割烹 丸仙の箸袋」。新潟市南区白根でコンプレックス折り紙を主にした創作活動に取り組む「f.o.l.d(フォールド)」が、月潟地域の「割烹 丸仙」の箸袋を使った真似したくなる折り紙を映像化する。
4時半から「プリントゴッコって?自分だけの絵はがき作れます」。和田直子さんがプリントゴッコでの絵はがき作りを映像で配信する。
5時から「子ども映画を観ながら」。東京都豊島区池袋の生涯学習施設で行われる子ども映画づくりワークショップのコーディネーター松井さんがプロジェクトの成り立ちや子どもたちとの活動のなかで起こったできごとを話す。
6時からメインの長編ドキュメンタリー映画「ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方」。先着35人だけがZoomアプリで鑑賞できる。2018年制作の米国映画でアカデミー賞ドキュメンタリー部門最有力候補。大自然の厳しさに翻弄(ほんろう)されながらも、そのメッセージに耳を傾け、命のサイクルを学び、愛しい動物や植物たちと究極に美しい農場をつくりあげていく8年間の感動の軌跡が描かれている。鑑賞後のアフタートークもある。
9時半からラストの「木村はいるのに。〜ウルトラリップ番外編」。月潟を本拠地とする劇団ハンニャーズが、料亭「きむら屋」を舞台に演じるオンライン公演で演者は4人の女性。シネ・ウインド演劇賞2015大賞を受賞した「ウルトラリップス」シリーズの番外編。初めてのオンライン公演、演劇の1回性に賭けたアーカイブ無しの1回限りの配信公演にチャレンジする。
上映会を主催するのは「月潟アートプロジェクト」から名前が変わった「月面構想」。代表は旧白根市出身の自営業水野祐介さん(36)=新潟市東区=。大阪や東京で映画の仕事に携わった経験がある。2017年に3人でアートユニット「OBI」を結成し、映像、製作を担当。月潟を拠点に新潟市で活動し、白根商店街の空き家の改装、展示した「空家プロジェクト」も手掛ける。
「つきのよるの上映会」は昨年6月と9月に開かれ、今回で3回目。9月は月潟の一大イベント「大道芸フェスティバル」の日にかつての料亭と劇場で開いたが、ことしは新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、大道芸フェスティバルは中止になった。
ことしの上映会開催は無理だとあきらめかけたこともあったが、全部、なくなってしまってはと、上映会だけでも開催したいとオンラインで企画。リアルではなくなったが、逆に昨年以上に充実した内容になった。
今回は新潟市の事業「水と土の文化創造都市」の補助金を受けているが、水野さんは「今後は助成金を受けずに自走できるようなイベントにしていきたい。月潟にはかつて劇場がありましたが、劇場の復活なくしては月潟の文化を後世に伝えていくことはできない。車も人もほとんど通らないまちになってしまったが、自分で探せばおもしろいものもあるで、目を凝らして探してほしい」と話している。