1963年(昭和38)に新潟県の無形民俗文化財に指定された「三条神楽」の鑑賞会が10月4日、三条市中央公民館で開かれ、三条神楽を保存する三条市内6社がステージで1舞ずつ披露した。
三条神楽の保存、継承をと三条市と三条神楽保存会の主催で毎年、各神社で神楽が奉納される秋祭りが終わったタイミングで「三条かぐら鑑賞会」と銘打って開かれている。
三条神楽は、八幡宮(八幡町)、諏訪神社(田島)、中山神社(西大崎)、小布勢神社(上保内)、神明宮(神明町)、白山神社(塚野目)の6社に伝わる神楽の総称。岩戸開き神話を中心に古くから出雲大社に伝わる神事や神社の縁起を新たに取り入れた出雲神楽系統に属す。
山陰地方から北陸地方をへて三条の地に伝えられたと考えられ、 江戸時代の1811(文化8)には、三条町八幡宮で神楽が舞われていたことが、古文書などに残る。6社が保存する神楽は32舞。今回は、宮清(みやきよ)の舞(諏訪神社)、地久楽(ちきゅうらく)の舞(小布施神社)、悪魔祓(あくまばらい)の舞(八幡宮)、杵樹(ぞうぎ)の舞(白山神社)、久奈戸(くなど)の舞(中山神社)、宝剣作(ほうけんさく)の舞(神明宮)を披露した。
神社では屋外の舞殿や神楽殿で舞われるが、鑑賞会は中央公民館の大ホールが会場。ステージは神社の舞台よりはるかに広く、神社よりもとくに左右に余裕をもって舞った。
太鼓や笛の奏楽の音量も屋外で聴くよりはるかに大きく、郷土芸能というより伝統芸術の味わい。約200人の来場者は、本来はそれぞれの神社の秋祭りへ出向かなければ見られない神楽をまとめて一カ所で比較しながらじっくり鑑賞していた。