この秋は新潟県内でクマに襲われる被害が相次ぎ、県は10月12日から初めて「クマ出没特別警報」を出して県民に被害防止の注意を呼びかけているが、県央地域でも例年には見られない平野部に近い地域でもクマが出没しており、警戒を強めている。
加茂市では18日午後9時20分ごろ、若宮町2地内で近所の人が外へたばこを吸いに出たときに、体長約1メートルのクマを見かけた。クマは南の山側へ逃げていった。
目撃現場付近は若宮町団地があり、北東約200メートルには若宮中学校がある。翌19日、加茂市は目撃現場から山手側の鱈田沢不燃物埋立処分場の手前にクマを捕らえるおりを仕掛けた。今年度、加茂市のおりの設置はこれで11カ所目となった。あわせて地元の若宮町1、2丁目、秋房の自治会に注意喚起のちらしを全戸配布した。
近所の人は「ウチらが引っ越してきた50年前にもクマが出たことがあった」と言い、極めて珍しいケース。また、ことしは珍しくサルも出たと言い、「畑のカボチャとスイカが全部やられた」が、サルに襲われることはなく、「クマばっかしゃ…」と怖がっていた。
秋は冬眠前に脂肪を蓄えるため人里に出没することが多く、クマの食糧とするブナの実は昨年に続いて珍しい2年連続の不作。そのためクマの出没も2年続きで多発している。
加茂市では昨年度、目撃23件、痕跡8件の31件の出没情報があった。それと比べると今年度は19日までに目撃9件、痕跡3件の12件と、まだ昨年度の3分の1ていどにとどまっており、昨年度は上回ることはなさそうだ。
これまで加茂市はクマの出没状況を積極的に発信することはなかったが、藤田市政となってからは住民の安全確保に力を入れ、ホームページに市内のクマ出没情報を掲載して注意喚起している。
三条市でも19日までに48件の出没情報があった。山手の下田地区では珍しくないが、うち5件が三条地区、1件が栄地区での情報。とくに保内地区では10月15日と18日に目撃情報と痕跡情報が1件ずつ、計4件の出没情報があり、この地域を学校区とする保内小と第四中は16日、早めに下校するなどの措置を行ったほか、看板の設置や防災無線による注意喚起を行っている。
19日夜には保内地区に隣接する加茂市下条地内でクマが目撃され、クマの行動範囲を考えると、保内地区での目撃情報と加茂市内での目撃情報のうちいくつかは同じクマの可能性もありそうだ。