新型コロナウイルス禍というより厳しい状況の中、10年間に渡って三条市を引っ張ってくださった國定前市長の後を継ぎ、立候補してくださった両候補には心より感謝申し上げます。
私たち有権者側も、真剣に姿勢に取り組まれている両候補に対して恥じないよう、真剣に私たちのまちの未来を考えて投票することが大切だと思います。
市長や議員、市職員だけに任せないまちづくりを。誰もがまちを支える側になるし、支えられる側になります。
そうした一歩は、選挙からも始まるのではないかと期待している一人です。
さて、前記事で記載したように、246名の方からアンケートにご回答をいただき、ワークショップを開催して作成した立候補者アンケート。その回答をいただくことができました。
選挙活動でとても忙しい中、真摯にご対応いただき、ありがとうございました。以下、設問ごとに回答を掲載させていただきます。
石本貴之実行委員長
設問1.市政の評価
現在の三条市の市政について、あなたが「良いところ(継承する)」と「不十分なところ(改善する)」と考える点について、それぞれ 500 字以内で記載してください。
滝沢 亮 氏
良いところ(継承する)
(1) 工場の祭典の実施、ジャパン・ハウスロンドンへの出展をはじめとする各種事業やイベント、産業支援活動を通じ、三条市のアイデンティティのひとつが「ものづくりの街」であることを、市内の方々には再認識させ、対外的には広く浸透させた
(2) 三条マルシェをはじめとする、子どもから年配の方まで参加できるイベントを、マーケティング要素を取り入れながら実施・継続している
(3) 「あそぼって」や「ミズベリング」のオープン、「トリムの森」すべり台の導入など、主にハード面からの子育て環境の整備
(4) ブログや記者会見、オリパラ首長連合会長の任務などを通じての、三条市を全国にアピールしてきた発信力
(5) 災害時におけるリーダーシップの発揮
不十分なところ(改善する)
(1) 介護認定が近隣市町村と比較して厳格であること
(2) 福祉や高齢者問題について、自治会長さんや民生委員さんの善意に依拠している部分が少なくないこと
(3) 近隣市町村と比較し、子ども医療費助成の対象が狭いこと(燕市は高校生まで支援対象であるが、三条市では支援対象が中学生までである)
(4) 既に建設が完了した、または現在建設中の公共施設の維持管理費についての議論や課題が市民の間に十分伝わっていないこと
(5) 政策判断プロセスにおいて、市民の声をより十分に聞いた方がよい機会もあったこと
名古屋 豊 氏
良いところ(継承する)
燕三条工場の祭典に象徴される「全国に冠たるものづくり技術・職人技」にスポットを当てた点は高く評価できる。職人たちが改めて自分たちの仕事への矜持を持つことと同時に、産業観光のツールとしても磨き上げることに成功した。三条に育った私たちは子どものころからの日常風景であった職人の世界だが、移住者でもある國定勇人前市長の目にはこのまちの大きな財産に映ったのだと思う。「技術伝承をしたい」という若き担い手へのPRと育成支援という行政としての大切な役回りをしっかりと継承していきたい。
合併特例債等の有利債を活用した公共施設建設あるいは整備の方向付けがおおむね完了した。ハードの整備は市民の皆さんが充実した日常を送るためにも不可欠であり、それら施設を小さなお子さんから高齢者まで世代を問わず、住む地域を問わず、より多くの市民が活用を実践し充実感を得る仕掛けをつくりたい。
不十分なところ(改善する)
旧三条市、旧栄町、旧下田村による合併から15年。「三条はひとつ」をうたいつつ、それぞれの特性を活かしての地域づくりも並行して行い、三条地区ではものづくりに光を当て、栄地区では流通工業団地造成や住宅団地開発、下田地区では観光に力を入れてきた。しかし、一方で栄地区や下田地区の特に高齢者からは「合併して良いことなんて何にもなかった」という声も聞く。規模が大きくなったことで「行政との距離が遠くなった」と感じている住民も少ない。私は市長として、栄地区・下田地区の住民が「もともとの行政サービスと比べてどこに不便を感じているのか」という点について早急に課題整理を行い、やれることからスピード感をもって取り組んでいく。
産業界では業種を問わず、また、地域コミュニティにおいても担い手不足は深刻。農業も含め、広く現場の生の声を拾いながら、産官学金連携で担い手育成の具体策を進めていく。自治会役員やPTA役員など地域の世話役の受け手不足・引き継ぎ手不足の解消は急務。市内における成功事例も参考にしながら先を見据えた仕組みを構築したい。
設問2 人口減少対策/子育て支援環境整備策
市民アンケート結果からは、全世代で人口減少対策が不十分であることや、子育て世代では安心して子どもを産み育てられる環境に対して不満を抱いていることがわかりました。
あなたは市長就任後、人口減少対策及び子育て支援環境の整備において、どのような取り組みを進めていきますか?あなたが考える現状の課題とともにお教えください。
また、三条市がベンチマークとすべき自治体やその取り組み事例があれば、その理由とともにお教えください。それぞれ250文字以内で記載してください。
名古屋 豊 氏
人口減少対策(現状の課題と取り組み)
若年層転出抑制を目的とした医療系専門学校や三条市立大学の設置は三条市そのものの将来設計としても大変重要な事業。長年の悲願であった県央基幹病院の開院によって看護師の需要が増えることも予想される中、隣接地で学ぶ魅力は大きい。また、県央地区で初となる歯科衛生士育成の場は長岡地域も含めた近隣からの若者の呼び込みも期待できる。
新型ウィルス感染症拡大でテレワークが可能な職種も数多くあるということが分かった。移住者促進に向けての環境整備も加速させていくべき。
ベンチマークすべき自治体・取り組み事例とその理由
もともと過疎で悩むまちだった徳島県神山町はITベンチャー企業のサテライトオフィスが集まるまちとして社会動態人口増を成し遂げた。市議時代、会派で直接現地を視察してきたが、外国人を含む若い世代がまちを行き交うその光景に驚かされ、また、可能性を感じた。都市部に比べて農村部は人間関係が濃密であり、よそ者を受け入れないと考えがちであるが、お遍路さん文化に根付く神山町には受け入れの風土があったことも幸いしたとのこと。
滝沢 亮 氏
人口減少対策(現状の課題と取り組み)
(1) 子育て支援環境整備策を実現し、若い世代、子育て世代が三条市を選んでくれる、Uターンの際に近隣市町村ではなく、三条市に戻って来るようにする
(2) 子育て支援そのものだけでは不十分であり、経済、産業政策も民間企業と連携しながら十分に行い、働き口を十分に確保し、かつ、定着しやすい職場環境が多い街とする
(3) 卒業後、三条市で一定期間暮らすことや三条市内の企業に勤務することを条件とした返済不要の大学奨学金制度
ベンチマークすべき自治体・取り組み事例とその理由
(1) 人口減少対策に成功した自治体としてメディアなどで紹介されているところもあるが、その自治体の地場産業や立地などの特性を活かしたケースがほとんどであり、特定の自治体をベンチマークとして提示することは難しい
(2) 民間企業では、社員が海外の大学などに留学する際、学費や生活費を社員に貸与するが、帰国後たとえば2年間その企業に継続して勤務することを条件に、貸与分の返済を免除する制度を導入している事例がある。(3) については、そのような事例を参考にした
滝沢 亮 氏
子育て支援環境整備策(現状の課題と取り組み)
(1) 子ども医療費助成の拡張(現行の中学生までから高校生まで拡張)
(2) 子どものインフルエンザ予防接種費用の補助
(3) 幼児教育・保育における副食費の補助
(4) 小中学校の教員の働き方改革を推進し、教員が子どもたちと向かい合う時間、教育にかける時間の確保
(5) 小学生のキャンプ実習
(6) 障がいを持った子どもたちへの支援
(7) 不審者出没地点を中心とする防犯カメラ設置
ベンチマークすべき自治体・取り組み事例とその理由
(1) 子ども医療費助成の拡張、子どものインフルエンザ予防接種費用の補助については、燕市の現在の政策を参考にしている
(2) 新発田市が子ども医療費助成を中学生までから高校生までに拡張した際、予算が約3,300万円増(2億7,700万円→3億1,000万円)であったことから、現実的に困難ではない数字と考えている
(3) 幼児教育・保育における副食費の補助については、秋田県が県として行っている「すこやか子育て支援事業」、秋田県内の各市が県の制度に上乗せして行っている各種制度を参考にしている
名古屋 豊 氏
子育て支援環境整備策(現状の課題と取り組み)
収入の少ない若い世代に対する定住促進策として、新築、中古、マンションなども対象とした補助制度を検討すべき。個人財産に対する現金給付は公平性の観点から慎重な検討も必要だが、固定資産税の時限的免除も一案。また、第一中学校で制服等を新入生に引き継ぐ取組みが好評だが、民間主導のそのようなリサイクルやシェアを行政としてもバックアップすることでそのような文化「三条スタイル」を確立し、結果として経済的負担の軽減につなげたい。
ベンチマークすべき自治体・取り組み事例とその理由
残業やママの体調不良などでどうしても迎えに行けない場合の保育園や習い事などの子どもの送迎代行サービスはこれから需要が増えていくのではないか。市内タクシー事業者でもそのようなサポートサービスを展開しており、行政として周知を図っていくことで信頼度を高め、より安心してサービスを受けることが出来るようになる。
設問3 市政のシミュレーション
あなたが市長就任後、市政に停滞がしたり、失敗が生じるとしたら、現実的に最も起こりうる可能性が高いことはなんだと思いますか?その具体的な内容と、それに対してどのように対応するか、想定できる範囲でお教えください。500文字以内で記載してください。
名古屋 豊 氏
今回の市長選挙では現職市議会議員が同じ会派の中でも別々の候補者を応援するというねじれ現象が生じている。私が市長に就任した場合、相手候補を応援した市議会議員が私の市政運営にどのように対応するかという点は一つの焦点になり得る。しかし、選挙によって市民から負託を受けるという重みを知る市議会議員が市長選挙での市民の判断を尊重するのは当然のことであり、二元代表制の根幹として是々非々で臨まれることを期待したい。
議会出身の私としては、これまでよりも議員が市政運営により直接的に関わるような仕組みについて検討したい。各常任委員協議会で協議される条例案や事業案については、そのほとんどが確定に近い状態で提出され、言わば報告会のようなものとなっている。この協議会の機能をもっと活用し、市民代表たる議員の意見が政策立案に反映されるようにしたい。
滝沢 亮 氏
(1) 停滞や失敗が生じないように市政に取り組むというのが三条市長として職務を遂行するにあたっての大前提となる
(2) そのうえで、市政に停滞や失敗を引き起こす原因となりうるのは、?新型ウィルス問題の再拡大や新たな感染症の流行、?各種自然災害の発生など、現在の科学的知見では十分に事前予測できないことが三条市で起こってしまうことにより、当初予定していた施策に対して十分な人員やお金をあてられないことが想定される
(3) 対応策としては、まず、市が準備する防災計画や防災プランを最新の知見を反映させたものに定期的に更新することなど、自然災害等に対する事前の準備を十分に行い、被害の拡大を可能な限り事前に抑制することが挙げられる
(4) また、万が一自然災害等が発生した場合には、国や県との連携した対応に加え、市独自の取り組みも迅速に行い、被害の発生を最小限に抑えることが必要となる
(5) これら (3) と (4) を行うことにより、自然災害等が発生した場合であっても、当初予定していた施策に最大限のリソースを用いることができることになる
設問4 市民との対話・コミュニケーション
あなたは市長に就任後、市民の期待に応えながら政策を実現してくため、どのように市民と対話、コミュニケーションをとって、関係性・信頼を築いていきますか。また、アンケートで不満の高かった市民参加、協働を推進するための施策と合わせてお教えください。500文字以内で記載してください。
滝沢 亮 氏
(1) 市民のみなさまとの対話会を開催し、みなさまの声をお聞きするとともに、私の考え、三条市の考えを十分に伝える機会を設ける
(2) 地域単位の対話会のほかに、年代・世代ごとの対話会を行うことも計画している
(3) 新型ウィルス問題の状況によっては、オンライン対話会の実施も検討している
(4) 市民のみなさまからのご意見をうかがう窓口として、LINEなどのSNSを利用することも検討している
名古屋 豊 氏
市民との信頼関係の構築はまちづくりの原点。行政組織として、反対の声や質問の声にも丁寧に答えていく、誠意をもって説明していくことをしっかりと市役所職員に浸透を図ることを行う必要がある。
市民参加や協働については、これまでの三条市も意識的に行ってきたにもかかわらず機能していないというのが現状であり、それがアンケート結果にも反映されているのだと思う。熱心な一部の市民だけが行政が用意した様々な検討組織や実行委員会などに名を連ねているという印象を持つ市民も多い。よりチャンネルを多くすること、これまでの発想を転換し、基本的には民間主体でのまちづくりを重視し、そこに行政としてお手伝いできるところをお手伝いするという形の方がうまくいく。トップダウン型からボトムアップ型への転換を図っていきたい。
設問5 庁内体制
あなたの掲げる政策を進めていくためには、どのような庁内体制を築く必要があると思いますか?現在、認識されている庁内体制の課題とそれを解消するために実行すること、また今後、職員に求めることも合わせてお教えください。500文字以内で記載してください。
名古屋 豊 氏
政策推進のためには部課長だけではなく、部課長の指示を受けながら詳細を煮詰め肉付けをしていく若い職員たちが市長の細かな考えを共有する必要がある。現在でも若い職員たちが上司たちと一緒に理事者に対して政策プレゼンをしているが、市長肝いりの政策についての所管課全体での共有の仕組みの確立も行う。前市長の任期終盤では若い職員たちが政策提案をしづらい雰囲気があったとも聞いているが、彼らが自由な発想で提案を出来るように心がけ、有効なものについてはどんどん採用していく。
私の市長選の公約でも掲げている学生・若者たちのまち全体への交流については、庁内各般にわたっての事業展開となる。横串を入れて、プロジェクトチームを編成して臨みたい。
滝沢 亮 氏
(1) 現時点では三条市の一市民として総合窓口を利用することや、弁護士としての職務上、主に福祉保健部の職員の方々と接する機会はあるが、それ以上に職員の方々と具体的に接する機会がそれほどなかったため、ここに記載するほど詳細には三条市役所の庁内体制の課題を知りうる立場にない
(2) そのうえで、私が三条市長に就任した際には、三条市役所の職場環境の充実を通じて、みなさまが利用しやすい三条市役所を作るなど、市民サービスの向上を図る必要があると考えている
(3) 「三条市役所の職場環境の充実」の具体例としては、1.各部署の連携、2.各部署間や職員間の職務負担の平準化、3.ペーパーワークの軽減による効率化などが挙げられる
設問6 幹部人事
あなたの掲げる政策を滞りなく、かつ効果高く進めるための右腕となる副市長を選ぶにあたって、どのような基準で選びますか?求める人材像と合わせてお教えください。400文字以内で記載してください。
滝沢 亮 氏
(1) 私の掲げる政策、方向性、ビジョンを十分に理解し、その実現に向けた実務的な役割を担ってくれる方が、私が考える副市長像である
(2) ただし、私の考えが、今回の市長選挙において私が掲げるキャッチコピーである「市民のために」にそぐわないと副市長が考えるときには、そのことを私に対してしっかりと指摘していただきたい
(3) 加えて、現在、国が掲げるデジタル化の流れに三条市も乗る(実際のところ、国よりも先行する)必要があるため、ITやデジタル分野にも一定の造詣が深い方が望ましい
名古屋 豊 氏
設問3でも回答したが、市長の提案が議会で否決されれば市政の停滞は避けられない。政治家でもある市長と議員とは時に目に見えない壁のようなものが立ちはだかる場合もあるが、職員のトップである副市長が通訳として、交渉人として、調整役を務めることで市政運営をスムーズに行うことが出来る。副市長の大きな役回りである議会対応に長けた人材の起用が必須。
設問5にも関係するが、市長の掲げる政策の意図や効果をしっかりと理解したうえで、財源も含めた細かな点の精査を各担当部課長に指示するのも副市長の役目。各部課長との信頼関係を構築出来得る人選をしなければならない。
また、市長との深い信頼関係の下で、イエスマンではなく、時に市長に対しても苦言を呈することが出来ることも大事な条件となる。